しかしながら、聖書は英雄崇拝といった稚拙(ちせつ)なお遊びと無縁である。信仰生活では、極めて別のことが起こる。一人ひとりが、特殊でオリジナルな冒険の要素を発見する。わたしたちは他の人の足跡をたどることを止められ、キリストとの比類なき交わりに招かれている。聖書はいつも「信仰の物語は、一つひとつ全て、完全にオリジナルである」ことを明らかにしている。神の天才的な創造は無限である。神が倦(う)み疲れ創作活動の厳しさに耐えられなくなり、模倣の大量生産に逃げたりはしない。一人ひとりの人生は、神の前に置かれた真新しいキャンバスのようなものである。神はそのキャンバスに、今まで神も使ったことのない線を引き、色をつけ、陰影を加え、記事を張り、造形して行く。彼は決して、創作の厳しさを維持するために疲労して、コピーを大量に生産することに頼らない。
全ての征服者に聖なるマナを与える。それに加えて、透明でつややかな石を与えよう。そこにあなたの新しい名前が刻まれている。そこに刻まれたその名こそ、新しい聖なるあなたの名前である。
―― ヨハネの黙示録2章1節b