(①を読む)
最新の文化庁編『宗教年鑑』(2020年版)から、各教派の信徒数ランキングを見ていく。今回は3位から6位まで。プロテスタントで、戦前から歴史のある教派が並ぶ。
3位は日本聖公会で、4万7150人(クリスチャンのうち約5%)。4万7886人(19年)、4万8449人(18年)、4万9228人(17年)、5万512(16年)と、5年間で3362人も減少し続け、前年から736人減っている。1999年の5万8382人をピークに1万1232人(約19%)も減っている。教会数は277で、前年から4つ減った。
日本聖公会は、プロテスタントの中でもカトリックに最も近い英国国教会の流れにある米国聖公会などの宣教師により1887年に創設された。主流派。
4位は日本バプテスト連盟で、3万3636人(クリスチャンのうち約3・6%)。前年の3万3729人(19人)から93人減った。2014年に3万5802人まで増えたが、そこから2166人(約6%)減っている。教会数は290で、前年から3つ増えた。
日本バプテスト連盟は、米国で最も信徒数が多い南部バプテスト連盟により、戦前から九州を中心に伝道が行われ、戦後は全国に広がった。南部バプテスト連盟は福音派だが、日本バプテスト連盟は主流派。自覚的な信仰告白をしてから「バプテスマ」(「洗礼」と言わない)を受けることが特徴で、カトリックなどの幼児洗礼を認めない。また、他教派は滴礼(額に水を垂らすこと)が多いのに対して、全身で水に浸かる全浸礼を行う。それぞれの教会ごとに独立した各個教会主義で、教会員による総会によって物事を決める会衆制であり、牧師や役員が決める監督制や長老制ではない。
5位は日本福音ルーテル教会で、2万1869人(クリスチャンのうち約2・3%)。前年の2万1858人(19年)から11人減った。1996年の2万2367人から498人(約2%)減っている。教会数は前年から一つ減って121。
日本福音ルーテル教会は、宗教改革者ルターによる教派。ルター派は、発祥のドイツをはじめ北欧に多いが、日本では米国のルーテル教会の宣教師により、1893年に始まった。まず九州を中心に伝道され、戦時中、日本基督教団に合同されたが、戦後間もない1947年、日本福音ルーテル教会として再出発した。プロテスタントの中では比較的カトリックに近い礼拝が守られる。主流派。
6位はセブンスデー・アドベンチスト教団で、1万4988人(クリスチャンのうち約1・6%)。前年の1万4932人(19年)から56人増え、1986年の1万1612人から3376人(約29%)増えている。教会数は182で、前年から2つ減った。
セブンスデー・アドベンチスト教団は19世紀、米国で盛り上がった再臨待望運動から生まれた教派。初期は再臨日を特定するなど、異端の扱いを受けることが多かった。キリストが復活された日曜日ではなく、土曜日を安息日として礼拝を守るなど、一般の教会との違いがある。
次回は7位以下で、福音派の教会が登場する。イレギュラーだが、ここで11位以下を簡単に紹介しよう。ベスト20で順位の変動があったのは、基督兄弟団が日本ナザレン教団に抜かされて18位から19位になっただけだ。
11位、日本キリスト改革派教会(9739人、前年9792人)。12位、日本正教会(9468人、前年9485人)。13位、日本イエス・キリスト教団(7429人、前年7565人)。14位、日本ホーリネス教団(7261人、前年7319人)。15位、在日大韓基督教会(6255人、前年6202人)。16位、日本長老教会(4253人、前年4209人)。17位、日本福音教会(3861人、前年3823人)。18位、日本ナザレン教団(3612人、前年3628人)。19位、基督兄弟団(3592人、前年3656人)。20位、日本バプテスト同盟(3408人、前年同)。
(③に続く)