日本福音ルーテル大分教会(大分市大手町)の礼拝堂で4月18日、パイプオルガンの聖別式が行われた。教会員や地域住民、また遠くから来たオルガニストやファンも含め、約60人が参加。オルガン製作も手掛けたイタリア在住のアレックス・ガイさん、吉田愛さん夫妻のデュオがバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」など、1時間30分にわたって演奏した。
パイプオルガンはイタリアのアンドレア・ゼーニ工房によるオリジナル設計。昨年5月にイタリアから職人が来日して、八角形という独特の礼拝堂(鎌倉雪ノ下教会や淀橋教会を手がけた稲冨昭氏による設計。「八福の教え」を表す)の音響などを調べた後、イタリアに戻って設計・製作した。それをいったん解体し、船で1カ月かけて輸送。大阪港から陸送で、9日に同教会に到着した。来日したゼーニさんら3人のチームが高い足場に上がり、646本のパイプを組み立た。筐体(きょうたい)には、バイオリンにも使われるアカモミの木が用いられている。そうして、高さ約4・7メートル、幅2・5メートル、重さ約1・3トンにもなるパイプオルガンが、天井の高い礼拝堂に取りつけられた。その後、パイプに息を吹き込んだりして聴音し、礼拝堂の響きに合わせて微調整し、調律を行った。56音、10種類の音色を奏でることができる。
20年前に礼拝堂を建てかえた際、「いつかはパイプオルガンを」と、この巨大な楽器を置く「オルガンバルコニー」を出入り口上部に作っておいた。それだけでなく、全国トップレベルのホールと同等の響きを持つようにも設計されている。そのため、年間30回に及ぶコンサートが開かれ、1年先まで予約が入り、延べ2000人以上もの人が訪れるという。
やがて、まとまった献金してくれる人が現れ、念願のパイプオルガンがついに設置された。設計、運送、設置、調律までの総費用は約1600万円。
同教会の野村陽一牧師(65)は次のように語る。
「夢だと思っていたが、本当に実現した。音がよく響くこの礼拝堂に合うよう、オルガンは落ち着いた音を目指した。重低音からかわいらしい高音まで、さまざまな音色が楽しめる。毎週日曜日午前10時半からの礼拝で演奏されるので、多くの人に音色を楽しんでもらいたい。そして、パイプオルガンの音に負けないぐらい大きな声で賛美歌を歌わないと」
22日には新しいオルガンでの初めての礼拝を行った。