童謡「サッちゃん」「いぬのおまわりさん」などで知られる作曲家の大中恩(おおなか・めぐみ)さんが3日午後9時40分、菌血症のため東京都港区の老人ホームで召天した。94歳。葬儀は8日正午、日本基督教団・霊南坂教会(東京都港区赤坂1の14の3)で。喪主は、妻でソプラノ歌手の北原聖子(きたはら・せいこ、本名・大中清子=おおなか・せいこ)さん。
1924年、東京都出身。父は、「椰子(やし)の実」を作曲した作曲家でオルガン奏者の大中寅二(とらじ)さんで、霊南坂教会のオルガニスト、聖歌隊長であったことから、恩さんは子どものころから歌に親しんでいた。45年、東京音楽学校(現・東京藝術大学)作曲科を卒業し、55年、作曲家の中田喜直(なかだ・よしなお)さんらと作曲家集団「ろばの会」を結成。子どものための音楽創作をライフワークとし、ラジオやテレビを通して童謡を広めることに尽力した。いとこで作家、詩人の阪田寛夫(さかた・ひろお)さんが作詞した童謡「サッちゃん」や「おなかのへるうた」、また「いぬのおまわりさん」(佐藤義美作詞)、「ドロップスのうた」(まど・みちお作詞)など、数多くの作曲を手がけた。また、合唱曲や歌曲も評価が高い。
82年に日本童謡賞を受賞。89年に紫綬褒章、95年、旭日小綬章。