今日10月11日はモーリアックの誕生日。1952年にノーベル文学賞を受賞したフランスのカトリック作家です。遠藤周作などにも影響を与えた代表作『テレーズ・デスケルウ』は2012年、「テレーズの罪」として映画化されました。
『キリスト教文学事典』(教文館)によると、母方の一族はみな敬虔なカトリックで、モーリアックも幼年時より母から厳しい宗教教育を受けました。「もし私が、神を信じない父の代わりにカトリック信者の母を失っていたら、今の私はどうなっていたか想像もつかない」と言っています。
1952年12月10日、ストックホルム市庁舎でのノーベル賞授賞式でのスピーチの最後にこう語りました。
答えが何であれ、私たちは一つの点に同意しなければなりません。非キリスト教化された人類は、十字架につけられたままだということです。十字架と人間の苦しみとの関係を壊すのは、どんな世俗的な力なのでしょう。詩編の作者が叫び声を上げた底知れぬ深淵にも下り立ったスウェーデンの作家ストリンドベリでさえ、その墓に一つの言葉が刻まれることを望みました。永遠の門を揺さぶり、その中に入るのに十分な言葉、「私たちの唯一の希望である十字架よ」(O Crux, ave, spes unica)です。そんなに苦しんだ後でも、彼はその希望による守りとその愛の陰で休んでいるのです。……作品の登場人物を通して彼は苦悩の秘密を伝えたように、その平安の秘密にも今夜、出会わせてくれるでしょう。
ちなみに今夜は十三夜。新月から数えて13日目で、満月の8割ほどの丸さの名月を愛でる日本固有の風習です。「十三夜に曇りなし」とも呼ばれ、空気が澄み、天気も崩れにくい季節なので、毎年、きれいな月を観賞できますが、今年は残念ながら台風19号の影響で見られそうにありません。