今日11月29日は野口英世の誕生日。1歳のとき、囲炉裏に落ちて左手に大やけどを負い、不自由にもかかわらず、ほぼ独学で医師になり、後に細菌学者として世界的に有名になった日本の偉人伝の代表的な人です。
18歳のとき、福島県の会津若松にある若松日本基督教会(現在の日本基督教団・若松栄町教会)で洗礼を受けました。その1年前にできたばかりの教会で、この教会では3人目の受洗者です。
最初は英語を学ぶために教会に通っていましたが、受洗してからは熱心に日曜学校のカードを配って歩いたり、クリスマスには自作の賛美歌を歌ったりしたといいます。手の不自由さに対する差別に苦しんでいた若き日の英世は、教会に救いを求めたのかもしれません。
また、同じようにこの教会に通って英語を学んでいた少女に恋をして、ふられてしまったというエピソードもあります。会津女学校で学ぶ、6歳年下の医者の娘でした。
このとき、英世は少女に宛てて、差出人を偽名にした、古めかしい文語文に英語交じりの手紙を出しました。困った少女は、この教会の牧師に手紙を見せて相談したところ、牧師は、「こんな難しい手紙を書けるのは英世以外にはあるまい」と踏んで問いただしてみたところ、確かにそうでした。
その教会は日新町(旧北小路35番地)にありましたが、後に栄町(現在地)に移転しました。いま、その跡地は「野口英世洗礼(初恋)の地」との看板がかかっています。
現在の若松栄町教会は、1911年に建てられたアーリーアメリカン・スタイルの白い木造の教会堂で、文化庁登録有形文化財、会津若松市歴史的景観指定建造物に指定されています。玄関脇の資料室には、信徒人名簿のコピーが展示されており、そこには改名前の「野口清作」と墨書されています。