今日11月11日は、ハルマゲドンが訪れると麻原彰晃が予言していた日。
オウム真理教の教祖だった麻原は、「ハルマゲドン(人類最終戦争)が迫っている」と不安をあおって若者の心理につけ込み、信者を急速に増やしました。そして、著書などでその日が1995年11月11日としていたため、日本各地で厳戒態勢が敷かれましたが、特に何も起きませんでした。
「ハルマゲドン」という言葉は、新約聖書の最後に置かれた「ヨハネの黙示録」にただ1箇所書かれています。
(悪霊は)全世界の王たちのところへ出て行った。それは、全能者である神の大いなる日の戦いに備えて、彼らを集めるためである。……汚れた霊どもは、ヘブライ語で「ハルマゲドン」と呼ばれる所に、王たちを集めた。(黙示録16:14、16)
ヘブライ語「ハル・メギド(メギドの山)」をギリシア語に音写(Ἁρμαγεδών)したもの。イスラエルの有名な古戦場を「大いなる日の戦い」の場所に象徴したのです。
黙示録は、ローマによってクリスチャンが迫害されていた状況下に書かれた黙示文学で、真の勝利はキリストにあると、苦難の中にある信徒を励ますものです。
黙示文学は、神によって示された終末の幻をさまざまな暗喩(あんゆ)を駆使して写実的・絵画的に描き出します。そのため、そこに使われた比喩や表象(イメージ)は後代、善と悪という二元論的な戦いなどというように、非キリスト教的な解釈が当てはめられていきました。たとえば、「デビルマン」や「幻魔大戦」などのSF作品などで「ハルマゲドン」がしばしば取り上げられたのです。
そして、1999年7の月に人類が滅亡するという五島勉『ノストラダムスの大予言』などがブームになり、さらにオウム真理教事件がたびたび報じられることによって、誤った「ハルマゲドン」理解が広く知られるようになりました。