児童性被害問題をめぐる教会の役割と課題 二本樹顕理さんが移住先のアイルランドから提言

旧ジャニーズ事務所内で受けた性被害を実名で告発し、同じく被害を訴えた元メンバーとともに「子どもへの性暴力を根絶する」活動に取り組む二本樹顕理(にほんぎ・あきまさ)さんが11月15日、クリスチャンプレス主催のオンラインセミナーに登壇し、信仰を持つに至った経緯や、教会ができることについて語った。

二本樹さんは13歳当時、約1年半にわたり旧ジャニーズ事務所に所属。その後、アメリカに渡り、バークリー音楽院で学ぶ中でクリスチャンとの関わりを通して洗礼に導かれた。「過去のPTSDや性被害によるトラウマで生きる意味すら分からなくなっていた時期に、聖書や教会との出会いが、人生の意味を与えてくれた」と振り返る。

2023年に自らの体験を公にしてから苛烈な誹謗中傷にあい、家族を守るためパートナーの故郷であるアイルランドに移住した二本樹さん。児童の性被害問題を予防するため、私たちにもできることがあるとし、「アイルランドでは、カトリック教会の性被害問題の経験を経て、政府主導のガイドラインが設けられている」と紹介。教会を含む子どもが関わる機関に対して、スタッフの安全性確保や、警察による犯罪歴証明書の提出が義務付けられているという。

「日本の教会は社会的な問題を取り上げることに及び腰になりがちだが、この問題は他人事ではない」と指摘した上で、特に権威主義の問題について、「指導者を安易に持ち上げすぎない」ことの重要性を強調。

「オープンな組織作りと、しっかりとしたガイドラインの整備が重要」とし、「子どもたちへの性教育と、身近な大人に遠慮なく相談できる環境づくりが大切」と提言した。

二本樹さんが元メンバーと立ち上げた「ワニズアクション(1 is 2 many 子どもへの性暴力を根絶するAction Plan)」は、引き続きシンポジウムや講演会などを通した啓蒙活動に取り組む予定。

子どもへの性暴力なくしたい「ワニズアクション」始動 〝補償だけで終わらせない〟 二本樹顕理さんらが啓発 2024年5月1日

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