韓国の憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を罷免する決定をしたことを受けて、韓国キリスト教協議会(NCCK)は声明文を発表した。
声明は、全会一致で大統領の弾劾を支持した判決について「私たちの憲法民主主義の健全性を再確認し、正義と法の支配の原則を回復する、この歴史的かつ勇気ある判断」と評価。「権力の乱用に対する厳粛な道徳的かつ法的な審判であり、民主的秩序を守るための重要な一歩であると理解」し、憲法裁判所の裁判官一同に敬意を示した。
その上で、「意見の違いがあったとしても、すべての人々がこの裁判所の決定を謙虚に、そして市民としての成熟をもって受け入れること」を呼びかけ、「大韓民国は分断から癒しへ、政治的対立から和解へと歩みを転じなければ」ならないとし、「政府与野党を問わず、すべての政治指導者たちが、民主主義の奉仕者として、誠実さと責任感をもって行動し、国民の信頼を回復するよう」求めた。
声明の全文は以下の通り。
大韓民国憲法裁判所による尹錫悦大統領弾劾判決に関する韓国キリスト教協議会(NCCK)の声明
「光は暗闇の中に輝いている。暗闇は光に打ち勝たなかった。」(ヨハネによる福音書1章5節)
大韓民国憲法裁判所は、尹錫悦大統領の弾劾を支持する全会一致の判決を下しました。この決定により、大統領は正式に罷免されました。韓国キリスト教協議会(NCCK)は、私たちの憲法民主主義の健全性を再確認し、正義と法の支配の原則を回復する、この歴史的かつ勇気ある判断を歓迎します。
私たちはこの判決を、権力の乱用に対する厳粛な道徳的かつ法的な審判であり、民主的秩序を守るための重要な一歩であると理解しています。私たちは、正義・良心・公益に基づく慎重な審議を経てこの重大な責任を果たした憲法裁判所の裁判官の皆さまに、深い敬意を表します。
ここ数か月、私たちの国は激しい社会的分断と混乱を経験してきました。弾劾のプロセスもまた、対立や痛みなしには進みませんでした。しかし、憲法と法に則った手続きを通じて、韓国の人々は、非常事態の違法な施行を試みた権力者たちに対して責任を問いました。この瞬間は、民主的制度の強靭さと、韓国国民の警戒心ある精神の証しです。
意見の違いがあったとしても、すべての人々がこの裁判所の決定を謙虚に、そして市民としての成熟をもって受け入れることを、私たちは呼びかけます。
私たちがこれから前に進むにあたり、大韓民国は分断から癒しへ、政治的対立から和解へと歩みを転じなければなりません。私たちは、政府与野党を問わず、すべての政治指導者たちが、民主主義の奉仕者として、誠実さと責任感をもって行動し、国民の信頼を回復するよう強く求めます。
また、公務に携わるすべての人々が、国民の声と苦しみに対して知恵と共感をもって応え、この移行の時期にあたって国を明確かつ責任ある姿勢で導いてくださるよう願っています。
そして私たちは、より公正で、参加型で、平和な社会を希求する希望を共有するすべての善意ある市民が、連帯のうちに結束するよう呼びかけます。
韓国キリスト教協議会(NCCK)は、暗闇の中に輝くキリストの光に導かれつつ、正義・平和・和解へのエキュメニカルな献身に揺るぎなく立ち続けます。私たちは、すべての命が豊かに生きるための共通の証しとして、韓国の民と、世界中のエキュメニカルな仲間たちと共に歩み続け、民主主義の見張り人として仕えてまいります。
2025年4月4日
韓国キリスト教協議会
総幹事 キム・ジョンセン
これに対し日本キリスト教協議会(NCCJ)は同日、以下のような応答の書簡を発表した。両国のNCCは今年6月、ソウルで11回目となる教会協議会を予定している。
韓国キリスト教協議会(NCCK)
総幹事 Kim Jong Seng 様
東京より、キリストにあって連帯のご挨拶を申し上げます。
本日、みなさまの民主主義回復のための長い闘いがついに勝利したというニュースを聞き、日本キリスト教協議会も喜びを共にしています。
みなさまは、昨年12月の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣布以来、神様の助けと導きを祈りながら街頭に出て、市民のみなさまと共に正義と民主主義の回復のために100日以上にわたって困難な闘いを続けてこられました。その祈りが聞かれ、また、みなさまの努力が報いられ、本日、大韓民国憲法裁判所が尹錫悦大統領の弾劾を支持する判決を下したことは、みなさまの未来が平和で多様性豊かな社会へと開かれていることへの証しです。みなさまがその道を開くために預言者的役割を果たされたこと心より敬意を表します。
みなさまの不屈の闘いを前に、わたしたちは反省を迫られています。日本の朝鮮植民地支配の罪責に真摯に向き合わず、解決に向けて取り組もうとしない日本政府に、どれだけ真剣に向き合い、政府を動かそうとしてきたかと。わたしたちは、わたしたちの怠惰という罪を悔い改め、真の和解と平和のために立ち上がらなくてはならないと痛切に感じているところです。
6月には11回目となる日韓NCC協議会が「平和と和解の使者としての教会の役割」というテーマのもと、ソウルで開催されます。日本の敗戦・韓国の解放から80年、日韓条約締結から60年のこの年に、わたしたちはみなさまと共に平和に向けての新たな一歩を踏み出したいと願っています。
この後に続く大統領再選挙までの道筋そのものが、民主主義を体現するプロセスとなりますように、引き続きお祈り申し上げます。国民のあいだの分断が癒され、実り多き議論がなされ、正しい道が備えられますように。そして、排除と敵対の空気が充満しつつあるこの世界に、対話と友愛の価値を再び思い起こさせるーダーが生まれますように。わたしたちも日本にあってそのように努力したいと思います。
神さまの祝福と導きがみなさまの上にありますように。
2025年4月4日
日本キリスト教協議会
議 長 吉髙 叶
総幹事 大嶋果織
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