自らを銃撃した犯人をゆるしたローマ教皇ヨハネ・パウロ2世

おはようございます。
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◆2006年1月12日 メフメト・アリ・アジャが釈放された日

1981年5月13日、サンピエトロ広場で当時の教皇ヨハネ・パウロ2世が銃撃されるという事件が起こりました。教皇は重傷を負いましたが命は無事でした。犯人はその場で取り押さえられ、逮捕されました。その犯人がメフメト・アリ・アジャです。

ヨハネ・パウロ2世は「私がゆるした私の兄弟のために祈ってください」と、彼を責めず、服役中にも面会したそうです。2000年にこの件については教皇の恩赦によって釈放されましたが、過去に母国のトルコで殺人を犯していたため、トルコに移されて再び収監され、2006年1月12日に釈放されました。

が、その8日後にまた収監されました。というのは、トルコでの殺人による懲役は25年で、教皇襲撃事件と合算しての25年では刑期が足りないと裁判所で決定がなされたからです。教皇襲撃の罪はゆるされても、他の罪はゆるされていない、ということですね。

GWB LB DIGITAL 12:35 Statements with Pope John Paul II.

聖書では「ゆるしなさい」と教えられ、教皇は実際にそのように振る舞いましたが、人をゆるすというのは一筋縄ではいかないものです。教皇でさえ彼のすべての罪をゆるすことはできませんでした。すべての罪をゆるすことができるのは三位一体の神様だけということです。「ゆるす」ということの難しさを思い知らされる事件です。

それではまた明日。

横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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