J・モルトマン氏の訃報を受けて、1996年にそろって来日した妻のエリザベート・モルトマン=ヴェンデル氏による講演要旨を再掲する。
モルトマン夫妻招聘委員会(喜多川信委員長)
男性的な原理と構造もつ「教会」
フェミニズム神学とは、女性による女性たちのための神学であり、D・ボンへッファーの「獄中神学」やアメリカで生まれた「
このとき「全体性」
女性の全体性回復させるイエス
過去20年間福音書に出てくる体の物語を読んできた結果、
しかし、全体性と平等に関するこの証言は新約聖書の中においてでさえも、ぼやけ始めている。最古の福音書マルコでイエスの頭に油を注ぐ女はルカでは罪にまみれた女とされ、イエスの苦難を見届ける女は、ルカではその補助的役割へと描かれ、自立的女性像は伝統的な女性の役割へと再逆戻りさせられている。
そこなわれてきた神のイメージ
私たちは旧約聖書においては神を主として見ることを、
私たちは神を父権的な牢獄の中から解放し、神の多くの名前やイメージを私たちの伝統の中で、私たち自身の中で、再ぴ発見しなければならない。神は男性でも女性でもない、神は歷史の中で男性にされたのである。そして私たちの課題は、女性たちの経験から再びいきいきとよみがえらされた神を、今度は女性の牢獄へと押し込められないようにしなければならない。