ニューライフ・ミニストリーズ新生宣教団(埼玉県比企郡)が12日、ヘブライ語の『マンガ メサイア』が完成したと公式ホームページで発表した。1万冊が印刷され、韓国の協力団体が数回に分けてイスラエルに送る予定だ。
『マンガ メサイア』は、新生宣教団が企画し、クリスチャンのマンガ家ケリー篠沢さんが4福音書を作画したマンガ聖書。日本語では『みんなの聖書まんがシリーズ 新約聖書①救世主(メシア)』(日本聖書協会)として知られている。『マンガ メサイア』はこれまで35の言語に翻訳され、宣教困難地域や紛争地、災害地、また若者や非識字者にも思いがけないほど受け入れられている。
今回、ヘブライ語版『マンガ メサイア』が配られるイスラエルは、人口約850万人のうち7割以上をユダヤ教徒が占める。ユダヤ人は長く、キリストを十字架につけた民として、クリスチャンから迫害や差別を受けてきた。そうした経験から、キリスト教への反感を抱く人々も少なくない。
そんな中でマンガ聖書は、気軽に福音を伝えられる最適なアイテムといえる。また、日本のマンガやアニメが世界的に浸透していることから、イスラエルの若者も違和感なくキリスト教理解を深められると期待されている。
同宣教団は、1954年に「新生運動協力会」として設立され、児童伝道や放送伝道を行ってきたが、現在は文書伝道(印刷)にその働きを集約。「The Word of God to a Lost World!」(みことばを世界へ)を合言葉に、聖書や福音文書などを各国の言葉で印刷している。
現在の活動の柱は「アジア プロジェクト」と「マンガ プロジェクト」だ。マンガ プロジェクトは、日本の文化ともいわれるマンガの影響力と訴求力に注目したもので、2006年に『マンガ メサイア』を完成させ、その後、旧新約聖書を全5巻(旧約3巻、新約2巻)にまとめた。
日本語のオリジナル版を英語に翻訳し、そこからさらに各国語に翻訳していく。英語などの横書きの言語の場合、日本語版と読み進める方向が逆になるため、絵を反転させ、吹き出しの中に横書きのセリフを入れることになる。しかし今回のヘブライ語版は、横書きなのに、文字を読み進める方向が右から左で逆のため、日本語版と同じ右とじで、絵を反転させる必要がないという。
「若い人を中心に、文字だけではなく、肌に触れて分かってもらえるマンガ聖書を届けることは、キリスト教を理解してもらう大きなステップとなる。今後もマンガを用いた宣教を進めていきたい」と同宣教団のスタッフ。
イスラエル事情に詳しいスティーブンス・栄子さん(オメガミニストリーズ・オメガバイブルスタディー代表)も次のように言う。
「近年、イスラエルでは日本のマンガがとても好評です。そのため、聖書に違和感があっても、日本のマンガの魅力によって神の御言葉を学べるマンガ聖書は、天からの素晴らしいアイデアだと思います。このマンガを手にするイスラエルの人々が、最後まで読まずにはいられない思いに包まれますように。このヘブライ語のマンガ聖書が福音宣教のために各地で用いられますように。心からの祈りをささげます」
現在も、インドや中東など、クリスチャンが迫害されている国々の言語に翻訳した『マンガ メサイア』の制作が進められている。