17日から放映されている篠原涼子主演の連続ドラマ「ハケンの品格」(日本テレビ系列)の主題歌「Motivation」(歌:鈴木雅之)の作詞を担当したシンガーソングライターの Manami さん。自身の新曲「the gates」も4月4日に配信し、そのミュージック・ビデオ(MV)は9日に公開されたばかりだ。
13度もグラミー賞を獲得し、ブリトニー・スピアーズ、ビヨンセ、マドンナなど、数多くの世界的スーパースターをプロデュースしてきた世界トップクラスの音楽プロデューサーのファレル・ウィリアムスに Manami さんは見いだされ、彼のトータル・プロデュースによって歌手デビューした。2009年10月に世界23カ国で配信されたデビュー曲「Back of My Mind」はファレルが作詞・作曲を手がけたもの。
Manami さんはこの時期、人生を大きく変える経験をしている。
「2008年にファレル・ウィリアムス主催のオーディションに合格して、歌手としての道が開かれました。そのオーディションに受かった直後にクリスチャンになったのです。
その時は大学4年生で、卒業論文のテーマはミケランジェロのピエタ(十字架で処刑されたキリストの亡骸を聖母マリアが抱いた彫刻)でした。それを最初に教科書で見た時から、なぜか私の頭の中から離れませんでした。ピエタを理解するためには聖書を知らなければなりません。また私はゴスペルも好きだったので、そのルーツを知るためにも聖書は不可欠でした。『何かいろいろとつながるものがあるな』と思いながら、英語の聖書を読み始めたのです。
聖書を開いた瞬間、いちばん最初のページに『GOSPEL(ゴスペル)』と書いてあり、そのつづりの意味が『God+Spell(神の言葉)』だと分かったとき、体中に電流が走ったような衝撃を受け、『この本に書いてあることは本当に神様が言った言葉なのだ』と確信しました。そこからずっと毎日、聖書を読んでいますが、読み始めてから私の人生は180度変わりました」
平凡な女子大生がいきなり世界的な名プロデューサーの手によって世界デビューを果たす。
「オーディションに受かって3日間くらいは嬉しかったのですが、やがて『怖い』というプレッシャーが襲ってきました。それから準備期間として1年間ほど待たされたので、『本当にデビューできるのかな』とも思いました。私がクリスチャンになったのはそんな時です」
この準備期間は、レッスンを積みながら歌い手として成長するとともに、毎朝、旧約2章、新約1章を読んで、信仰も成長させる大切な時間だった。聖書の通読はこの10年間、欠かしたことがない。
2010年からは、弟で作曲家の中村泰輔とタッグを組んで次々と歌を生み出し、世界に通用する歌唱力を持った本格派シンガーとして活躍する一方、作詞家としても中島美嘉や夏川りみに歌を提供する。
生まれ故郷の沖縄では、オリオンビールのサザンスターのCMキャラクターを7年間務め、弟とのコンビで数々のテーマソングを提供。安室奈美恵や SPEED など、数々の人気シンガーを生んできた沖縄で、Manami さんは県民から愛されるパワフルなエンターテイナーとして幅広い活躍を続けてきた。
プロの世界で10年も活動を続けられたのは、本人の努力だけではなく、神から与えられた才能と主の恵みの賜物(たまもの)によるが、10周年を目前に控えた昨年、「バーンアウト(燃え尽き)」に陥ったと Manami さんは打ち明ける。
「歌手としての活動、そして教会での奉仕がルーティンとなってしまい、自分で努力してやればやるほど疲れていきました。教会に行っているのに、元気を与えられるのではなく、かえって疲れ果ててしまう。それまでは、『こんなに恵まれた環境を与えられているのに、文句を言ってはいけない』と思っていたのですが、その時は聖書を読んだり祈ったりすることを一度全部やめてみたんです。神様がおられるのは分かっていましたが、疲れていたこともあり、反抗期のような感じで、すべてをストップしました。
その時に完全な神様の満たしが始まったんです。何かをしたから神様に愛されるのではなく、自分がありのままでいるだけで神様は私を愛してくださる。神様との関係が修復されたことで、神様への意識がガラリと変わりました。それまでも神様が愛してくださっていることは頭では分かっていましたが、それが自分の血となり肉となったのが去年のことでした。
神様が私をユニークな存在として創(つく)ってくださったことが分かり、表現の幅も広がっていきました。キリスト教は宗教ではなく、歴史上に実際に存在したイエス様と関係を持つことによって人生が超楽しくなることをこの1年間で感じました」(後編に続く)