米ラップ歌手のカニエ・ウェストが発表した9作目のオリジナル・アルバム「Jesus is King(イエスは王)」が話題になっている。10月25日にリリースされ、その週にチャート1位を獲得した。ただ、これまで米グラミー賞を21回も獲得している実力と人気を考えれば、それは驚くことではない。
彼の新作が話題になっているのは、これまで攻撃的な(言葉を選ばずに言えば「下品な」)音楽スタイルや歌詞のメッセージで知られていたカニエが、ゴスペル・アルバムを出したからだ。「Jesus is King」を含め、カニエはこれまでに9枚のアルバムを発表しているが、クリスチャン・アルバム部門やゴスペル・アルバム部門でのランキングは、彼のキャリアでは初となる。
カニエが「新生したクリスチャン」となった経緯やタイミングについては諸説あるものの、それが今年に入ってからの出来事であることは本人が証言している。しかし、カニエがクリスチャンとしてのメッセージを語るたびに、その信仰が誠実なものかどうか、常に疑問と好奇心の目にさらされてきた。「カニエは自らのオーディエンスに福音を届けている。過去に縛られて彼を裁くのはやめるべきだ」という声もあれば、「注目を浴びたいだけだ」という声もある。
カニエは「サンデー・サービス」と呼ばれるポップアップ・チャーチ(不特定の場所で礼拝を行う形式)を設立・運営しているが、「Jesus is King」の発表に合わせて行われた礼拝には、1万7500人収容のスタジアムが使用された。「今後、ゴスペル以外の楽曲は作らない」とカニエは宣言しており、今後も世界中のクリスチャンから(好意的であれ否定的であれ)注目されるアーティストであることは疑いようがない。
カニエはラジオ番組の中で、次作のアルバム「Jesus is Born」をクリスマスに発表すると語っている。