Q.毎回の役員選挙で票が割れ、なかなか決まりません。何かいい方法はありませんか?(60代・教会役員)
多くの教会では4月に総会を行うようですが、侃侃諤諤大いに議論する総会であってほしいですね。しかし総会ではもめることも多く、牧師にとってはユーウツな時でもあります。役員選挙ももめることの一つです。選ばれても断る人、つられるように「私も」「私も」と次々に辞退者が出たりすると、もう収拾がつきません。思わず「役員会など、なくてもいい!」と、心の中で怒鳴ったりすることになりますが、そうもいきません。
「票が割れ、なかなか決まらない」ということですが、考えようによってはよいことかもしれません。一部の人に票が集まり、毎回同じ人が役員に選ばれるのは役員会の保守化につながりますし、他人任せの無責任さの表れとも言えます。役員はできるだけ多くの人が公平に担うのがよいと私は思っています。その点から言えば「票が割れる」のは、一部の人に偏らないことで、よい傾向といえましょう。
でも、投票でなかなか決まらないというのも困りますね。その場合は、選挙方法に工夫があってもよいかもしれません。例えば、①まず予備投票で定数の1・5倍か2倍の候補者を選び、本当票をする(一番妥当な方法ですが、候補者に選ばれても辞退する人は、やはりある)/②選考委員会が前もって定数を超える候補者を選び、投票する(選考基準や理由が不明確だと、後にしこりを残すことになる)/③自薦、他薦を積極的に取り入れる(推薦合戦になって、人気投票のようになる)/④各年齢層、各グループの代表を必ず複数選出する(年齢層の分け方で議論が起こるし、グループの利益代表になりやすい)。
これ以外の方法もあり得るでしょうが、いずれも一長一短で決定的なものではありません。それぞれの教会の実情に合わせて工夫するしかないでしょう。
いずれにしても、役員は栄誉でも特権でもなく、教会に仕える働きですから、感謝と喜びの伴うものでありたいですね。間違っても教会の「厄員」にはならないように。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
かんばやし・じゅんいちろう 1940年、大阪生まれ。同志社大学神学部卒業。日本基督教団早稲田教会、浪花教会、吾妻教会、松山教会、江古田教会の牧師を歴任。著書に『なろうとして、なれない時』(現代社会思想社)、『引き算で生きてみませんか』(YMCA出版)、『人生いつも迷い道』(コイノニア社)、『なみだ流したその後で』(キリスト新聞社)、共著に『心に残るE話』(日本キリスト教団出版局)、『教会では聞けない「21世紀」信仰問答』(キリスト新聞社)など。