牧師は教会員を追い出せる? 上林順一郎 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

Q.在籍している教会の牧師から、意見が合わないから教会から出ていくように言われました。教会の牧師は、教会員が牧師と意見が合わないから来るなと言えるのでしょうか?(70代・女性)

正直にいえば、教会から出ていってほしいと思う教会員はいるのです。40年余り牧師をやっていて、そのように思ったことは何度もあります。「交通事故にでも遭わないかと、つい思ってしまった」と告白する牧師もいました。教会員と牧師とを「天敵」にたとえた信徒もいました。哀しいことですが、当たっている面もあります。

ところで、質問では「牧師と意見が合わない」というのが理由のようですが、「信仰理解や教会形成」をめぐって意見が合わないのか、あるいは「個人的な感情」に基づく意見の相違なのか、そのあたりが不明ですが、牧師と教会員の間で意見が相違するのは前者が多いと思われますので、それに絞ってお答えします。

まず、信仰理解や教会形成をめぐる意見の違いは、教会の中でしばしば起こることです。そのこと自体は問題ではありません。むしろ教会が生きているしるしでしょう。問題は牧師にしても教会員にしても、それぞれの立場や意見を絶対化しがちなところにあります。そうなると、意見の相違は対立となり、対立は教会の分裂を引き起こしかねません。

この質問では牧師が一方的に発言しているように読み取れますが、当の教会員はどうなのでしょうか。同様に「牧師とどうしても意見が合わない」と考えているのなら、例えば役員会が双方の意見を受け止め、相違を乗り越える努力をすることが教会的な解決の道でしょう。もし、牧師の一方的な強要なら、役員会に異議を申し出ることもできます。こうした問題は個人的な事柄にしないで、教会の場で解決することが大切です。

とはいえ、牧師と信徒との間には「深くて暗い川がある」と感じることも多くあります。「それでもやっぱり逢いたくて エンヤコラ 今夜も舟を出す」(黒の舟歌)。

シンドイことですが、それでは今夜も「向こう岸へ渡ろう」(マルコによる福音書4章35節)。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

 かんばやし・じゅんいちろう 1940年、大阪生まれ。同志社大学神学部卒業。日本基督教団早稲田教会、浪花教会、吾妻教会、松山教会、江古田教会の牧師を歴任。著書に『なろうとして、なれない時』(現代社会思想社)、『引き算で生きてみませんか』(YMCA出版)、『人生いつも迷い道』(コイノニア社)、『なみだ流したその後で』(キリスト新聞社)、共著に『心に残るE話』(日本キリスト教団出版局)、『教会では聞けない「21世紀」信仰問答』(キリスト新聞社)など。

【既刊】『教会では聞けない「21世紀」信仰問答Ⅱ -悩める牧師編』 上林順一郎監修

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