米国聖公会 移民に関する大統領令を受けて書簡「移民はキリストの体の一員」 2025年1月25日

米国聖公会は1月21日、「トランプ政権の移民に関する大統領令についての米国聖公会の指導者たちからの書簡」を公式サイトで発表し、トランプ大統領と議会の指導者たちに対し、「慈しみと憐れみ」を示すよう求めた。

また、書簡の中で聖書を引用しつつ、移民や難民を守るための活動に参加するよう行動を呼びかけた。

一方、ホワイトハウスのカロライン・リービット報道官は24日、Xでトランプ政権が538人の「不法移民犯罪者たち」を逮捕し、何百人もの「不法移民犯罪者たち」を軍用機で国外へ追放したと表明した。

書簡の全文(仮訳=エキュメニカル・ニュース・ジャパン)は以下の通り。


トランプ政権の移民に関する大統領令についての米国聖公会の指導者たちからの書簡

米国聖公会の神の民の皆様:

昨日、ドナルド・トランプが米国大統領に就任しました。私たちは、彼と選出されたすべての公務員が、祈祷書の言葉にあるように、神の意志を知り、それを実行し、真実と正義の愛に満たされる知恵と力を持つよう祈ります。

平和的な政権移行に感謝する一方で、私たちは報道から、新大統領政権が、歴史的な規模で不法移民を国外追放し、亡命を制限し、その他の移民対策を指揮するというトランプ大統領の公約の前兆となる一連の大統領令を発令したことを知りました。私たちはこのニュースを懸念しながら読み、新大統領と議会の指導者たちに、特に法を順守し、私たちの教会やコミュニティの長期メンバー、移民執行の名の下に引き離される恐れのある親たちと子どもたち、拘留中の虐待を受けやすく、法執行機関に虐​​待を報告することを恐れている女性たちと子どもたちに対して、慈しみと憐れみを示すよう強く求めます。

キリスト教徒として、私たちの信仰は、神が抑圧から逃れるために外国に導いた人々の聖書の物語によって形作られています。出エジプト記は、古代イスラエル人がエジプトの地で奴隷状態から逃れ、家もなく荒野をさまよった物語を語っています。レビ記19章33~34節で、神はこの滞在を私たち自身の信仰の物語の一部として覚えておくように命じています。

「もしあなたがたの地で、寄留者があなたのもとにとどまっているなら、虐げてはならない。あなたがたのもとにとどまっている寄留者は、あなたがたにとってはイスラエル人と同じである。彼を自分のように愛しなさい。あなたがたもエジプトの地では寄留者であった」(聖書協会共同訳)

今、パウロがエフェソの信徒への手紙第2章12~19節で語っているように、私たちはもはや寄留者ではありません。キリスト・イエスは私たちを聖徒たちとともに神の家族の一員としてくださいました。ペトロの手紙一2章9~12節で読むように、私たちは神の憐れみを受けており、この犠牲的な愛を私たちの生活と行いにおいて示さなければなりません。私たちの真の市民権は地上ではなく天国にあるため、私たちはこの世の指導者たちが私たちの間に設けた地上の区別を超越するよう求められています。私たちは迫害されている人々に天国が約束されていることを宣言し、私たちの中にいるよそ者を歓迎するというキリストの呼びかけに応えなければなりません。

この神の国のビジョン、この新しい現実は、私たちキリスト教徒が洗礼においていかなる政治的な好みや政策よりも誓約したものであり、私たちの教会が言葉と行いを通して証ししなければならないものです。この神聖な呼びかけは、移民を支持するという教会全体の取り組みと、地域社会で弱い立場にある移民や難民に奉仕する教会全体の会衆の奉仕活動の両方を形作っています。

19世紀後半以来、米国聖公会はこの呼びかけに従い、移民や難民を米国に迎え入れてきました。現在、米国聖公会移民奉仕団は、難民がこの国に入国する際に経由する10の再定住機関の一つです。私たちの政府関係局は、総会で採択された移民決議を一貫して支持しており、エキュメニカルおよび異宗教間のパートナーと協力して、国境を守り、安全保障上の脅威に対処する必要性を認識する、思いやりのある人道的な政策を促しています。何千人もの米国聖公会信者が、米国聖公会公共政策ネットワークを通じてこの擁護活動に参加しています。

移民執行政策の変更がさらに発表されるにつれて、私たちの教会全体の奉仕活動は、私たちの中で最も弱い立場にある人々を保護する実用的な道筋を提供し続けます。次のような方法で、ぜひご参加ください。

このアクションアラート(行動を促すための警報)を利用して、国会議員とともに行動を起こし、子どもの頃に米国に連れてこられ、人生の大半を米国で過ごしてきた「ドリーマーズ(夢見る人たち)」と呼ばれる移民を保護するための行動を起こしてください。国外追放の恐怖から逃れるための長年の「幼少期の移民に対する延期措置」プログラムは危機に瀕しており、議会は行動を起こさなければなりません。

このアクションアラートを利用して、コミュニティと経済に深刻な影響を及ぼすであろう大量国外追放に反対してください。

バランスのとれた人道的な、庇護の権利を尊重する秩序ある国境管理を支持してください。

一時的保護の地位(TPS)、延期強制出国(DED)、人道的仮釈放、米国難民受け入れプログラムなど、脆弱なグループの人々を保護するプログラムを支持してください。

人種に基づく標的化、自警団や暴力、家族の分裂、起訴や有罪判決なしの拘留や国外追放など、移民反対の言説や行動に反対の声を上げます。キリスト教徒として、私たちはすべての人間の尊厳を尊重するという神聖な約束を明確に示し、これらの憎悪と恐怖の表現に反対しなければなりません。

私たちの教会が福音を体現するにあたり、政府関係局と聖公会公共政策ネットワークのリソースを活用するよう奨励します。

私たちの教会全体で、移民はキリストの体の一員であり、会衆やコミュニティの一員であり、彼らの貢献のおかげで私たちの共通の生活はより豊かになっています。国外追放の危険にさらされたり、愛する人たちと引き離されたりする危険にさらされている兄弟たちへ、あなた方の物語は私たちの物語であり、あなた方の尊厳は私たちのものから切り離せないものであることを知ってください。私たちは皆さんを支持し、一緒にこれらの課題に立ち向かいます。

キリストの体に結ばれた一つの教会として、特に別離の影の下で暮らす家族のために、そして迫害からの保護を求めて亡命を求めるすべての人のために祈ってください。移民や難民に奉仕するために精力的に働き、宣教活動において新たな悲痛な課題に直面している私たちの会衆や教区の人々のためにも祈ってください。

最後に、忠実な聖公会会員が何十年にもわたってしてきたように、米国聖公会移民奉仕団と、米国での新しい生活を求める難民へのその奉仕に、惜しみなく寄付することで、私たちに加わってください。

キリストの平和のうちに。

総裁主教 ショーン・ロウ牧師
代議員会議長 ジュリア・アヤラ・ハリス

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