今日6月10日は時の記念日です。日本で初めて時計が鐘を打った日(『日本書紀』の記述から)であることを記念し、1920年、「時間をきちんと守り、欧米並みに生活の改善・合理化を図ろう」と制定されました。
新約聖書のギリシア語では、おもに「時」を表すのに「クロノス」(χρόνος)と「カイロス」(καιρός)という二つの言葉が使われています。「クロノス」は、過去から未来へと一定の速度で流れる連続した物理的な時間をいいます。それに対して「カイロス」は、人それぞれが感じる主観的・内面的な時間であり、神によって定められ、決断的応答を求められる一回的かつ決定的な瞬間です。クロノスが歴史に等しく刻まれた目盛りであるなら、カイロスは、神が歴史の中で働きかけて、世界の運命を変えるような出来事を起こされる特別な時、危機の時、千載一遇のチャンス、「まさにその時」なのです。
イエスの公生涯の第一発声、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて、福音を信じなさい」(マルコ1:15)や、「気をつけて、目を覚ましていなさい。その(最後の審判の)時がいつであるか、あなたがたは知らないからである」(13:33)の「時」は「カイロス」が使われています。そして、キリストの十字架の「時」こそ、救済史において中心、カイロスの中のカイロスです。「私の時が近づいた」(マタイ26:18)