「闇の中も、不思議な導きをもって導かれる」 日本聖書協会クリスマス礼拝

 

日本聖書協会(JBS、東京都中央区)は5日、日本基督教団・富士見町教会(同・千代田区)でクリスマス礼拝を催し、約250人が集まった。

具志堅聖氏=5日、日本基督教団・富士見町教会(東京都千代田区)で

まず、同協会副総主事の具志堅聖(ぐしけん・きよし)氏が「ベツレヘムの星」と題してクリスマス・メッセージを語った。

イエスがヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、東方の博士たちがエルサレムにやって来て、言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。私たちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです」(マタイ2:1~2、聖書協会共同訳)

「他者の成功を許容することができず、猜疑心(さいぎしん)にさいなまれ、キリストの殺害計画を企てずにはいられないヘロデ王。また、預言の言葉を知っていても、それに基づく行動をとろうとしない宗教者と、ヘロデ王と同じように不安を抱くエルサレムの人々……」

このように聖書箇所から、救い主の誕生を心の中で拒絶する人々の心模様を見て取り、それをクリスマスの出来事として福音書記者マタイが記録していることを伝えた。その上で、そこに一筋の希望の光とも言える東方の博士たちの存在があると語る。

「博士たちは求道者のごとく、救い主がどこにお生まれになったのか、どこにその言葉があるのか、星を見てたどり着いたということも記されています。博士たちは、この星が何かよく分からなかったけれども、星の中に何かを見いだし、闇の中を導かれてきたのです。

聖書が示す大いなる神は、このように不思議な出会いや導きをもって一人ひとりを世話してくれます。それがクリスマスの尊さであり、そのような出来事のために、聖書は私たちに何度もイエス・キリストの降誕を教えてくれるのです。私たちのただ中に創(つく)り主はおられます。救い主は再び来られます。待ち望む者たちのために」

表彰状を受け取る長岡正氏

その後、聖書事業功労者表彰が行われた。30回目となる今年は、シリウス長岡事務所社員税理士の長岡淳三(ながおか・じゅんぞう)氏(76)が表彰された。長岡氏は山形県上山(かみのやま)市出身で、1967年に山形大学教育学部を卒業。85年に長岡淳三税理士事務所、2017年に税理士法人シリウス長岡事務所を設立した。イムマヌエル綜合伝道団・高津キリスト教会員。

今回の受賞理由として、外部監査役として財政面でJBSに助言してきたことに加え、今年1月、キリスト教視聴覚センター(AVACO)とJBSが合併するにあたっての貢献が挙げられた。

クリスマス賛美をささげる参加者

この日、長岡氏は仕事の都合で出席できず、代わりに息子で長岡事務所代表を務める正(ただし)氏が感謝の言葉を述べた。

長岡氏は、仕事上での特殊な師弟関係に長年もがき苦しみ、そこから解放されたいと思って、56歳の時に洗礼を受けたという。その後、高津キリスト教会の藤本満牧師に、「ほかの教会の人たちとも積極的に交わるように」と背中を押されたのがきっかけで、2010年頃、JBSとの出会いに導かれた。ちょうどJBSが旧財団法人から一般財団法人に生まれ変わる時だったという。

「キリストの精神に基づく聖書活動の理解を、日本の税務行政へ求めていくことが困難な中、JBSに助けられながら、さまざまな課題を乗り越えることができました。またAVACOとの合併は、前例があまりない財団同士ということで、難題も多く、祈り続けた日々でした。今後も父はクリスチャン税理士として、また私はキリスト教への理解を持つ税理士事務所代表として、神様にお用いいただけるよう精進してまいりたいと思います」

大宮溥氏

最後に、同協会理事長の大宮溥(おおみや・ひろし)氏が挨拶(あいさつ)に立った。これまでの聖書頒布の道のりについて述べた上で、新しく「聖書協会共同訳」という豊かな内容の日本語聖書を送り出すことができたと感謝の意を表した。また、このたび総主事が交代することになり、大きな前進を遂げた中でクリスマスを迎えたとして、次のように締めくくった。

「日本のクリスチャン人口を思えば楽観的にはなれないところですが、そういう時だからこそ、心の糧(かて)となる聖書を人々の心に届ける必要があります。これからも皆様のご支援と祈りをいただき、聖書頒布のために前進してまいりたいと思います」

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