【インタビュー】福音伝道の場を公共にも役立てたい 今井館教友会 西永頌理事長(上)

今井館聖書講堂・資料館が、目黒区中根から文京区本駒込に新築移転し、11月から新たにオープンする。今回の移転事業にあたり、今井館を管理・運営するNPO法人今井館教友会で理事長を務める西永頌さんに話を聞いた。

───はじめに今井館について教えてください。

もともと今井館は、内村鑑三の活動を支援するため、大阪の香料商・今井樟太郎の遺志により妻信子が当時で1000円の寄付を献じ、それをもとに内村が自らの伝道のために建てた建物です。当初は内村鑑三の自邸内に建てられたのですが、没後5年目の1935年に目黒区中根に移転しました。1986年に資料センターを増設し、2003年に資料館を新設して、内村鑑三とその思想を受け継ぐ人たちの著書をまとまった形で収集してきました。

───蔵書はどのくらいあるのですか。

約1万点です。無教会キリスト教関係以外の資料も多くあり、それらの表題はOPACで検索できるようになっています。また、内村鑑三の「聖書之研究」をはじめ、無教会の先達者の伝道雑誌の多くはPDF化されています。他にも、過去に今井館で行われた講義の録音もCD化し保管しています。また、塚本虎二、矢内原忠雄、白井きく、酒枝義旗、黒崎幸吉、関根正雄、高橋三郎ほかの方々の講演もCD化されておりその肉声を聞くことができます。

───今回の移転事業はどのように始まったのでしょうか。

移転の検討を始めたのは3年ほど前です。当時、今井館は、土地代に年間約700万円を支払っており、この金額を払い続ければ、手持ちの資金が枯渇してしまうため、閉館もやむを得ないという状態にありました。そんなところに、無教会の信徒の方から、文京区本駒込の土地を地主の利益なしで提供したいという申し出があり、それなら継続できるということで新築移転に踏み出しました。

───現在建設中の今井館はどのような構造なのでしょうか。

新しい今井館は4階建で、1階は閲覧室、書庫と事務室、2階は聖書講堂と3つの集会室があります。そのうち二つの集会室は間仕切りをとれば大きめな集会室にもなります。3,4階は、全6戸の貸家となっています。

───賃貸アパートですか?

そうです。これは、新たに始めたことではなく、中根に今井館が移った時も当初は貸家があって、その家賃を運営費の一部に当ててました。いわば当初のスタイルに戻ったと言えます。

───賃貸アパートはクリスチャン専用ですか。

一般に向けて貸し出します。

───集会室も一般の人も借りられるのでしょうか。

一般の団体にも貸し出す予定で、現在、規約案を作っているところです。ただ、申し込みには紹介者が必要となる予定です。

それから、住宅街なのであまり大きな音は出せませんが、講堂で音楽会などもできたら良いなと思っています。そういったイベントの受け付けなどにも使えるようホールも設置しています。

─── 一種の文化的施設のようですね。

公共の場として、クリスチャンに関係なく多くの人に活用していただければと思っています。特に、近所には学校も多いので、若い人にもぜひ訪問してもらいたいと思います。

───今井館の移転事業にあたって、資金の協力も呼びかけてらっしゃいますが、今後今井館はどのように用いられていくのでしょうか。

無教会の人たちおよび一般のクリスチャンの方々にとって今井館はサービスセンターですから、安定的に存続させることが何よりも大切だと思っています。それと同時に、公共の場として、クリスチャンに関係なく多くの人に活用していただければと思っています。特に、多くの若い人にもぜひ訪問していただきたいと思います。そのためにも聖書講堂・閲覧室・書庫・事務室の設備の近代化をはかり、時代にあった施設にしていきたいと考えています。また、今井館の情報をより広く知らせるためにホームページの拡充・強化もはかっていきます。

にしなが・たたう 1939年、栃木県生まれ。東京大学教授等を経て、豊橋技術科学大学学長(2002〜2008年)。東京大学名誉教授。豊橋技術科学大学名誉教授。半導体結晶を作る技術の世界的権威で、日本結晶成長学会会長、結晶成長国際機構(IOCG)会長等を歴任している。結晶成長国際機構(IOCG)Laudise賞、日本結晶成長学会業績賞等を受賞。今井館教友会の副理事長を6年半間務めた後、前理事長の大山綱夫氏の後を受け、昨年理事長に就任した。

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