日本で初めて建てられたロシア正教会聖堂「函館ハリストス正教会」が、来年1月より大規模修復工事に入る。同教会は緑色の屋根と白い漆喰(しっくい)塗りの壁のコントラストが美しく、観光名所として知られる場所。週末に鳴り響く鐘の音は日本の音風景100選にも選ばれており、市民には“ガンガン寺”の愛称で親しまれている。今回の工事は耐震補強も兼ねていて、この屋根の全面葺き替え(ふきかえ)や鐘楼の補強、外壁の補修などが行われるという。
函館ハリストス正教会が日本に建てられたのは、1860(安政7)年。初代ロシア領事ゴシュケヴィッチが現在の地を見定め、ロシア領事館を建立した。その際に付属聖堂として建てられたのが同教会で、正式名称を「函館ハリストス正教会復活聖堂」という。“ハリストス”とはギリシャ語でイエス・キリストを表す言葉。翌年、ロシアより函館に渡った若き司祭聖ニコライによって日本で初めて正教が伝えられた。
初代聖堂は1907(明治40)年の函館大火で焼失。現在の聖堂は、1916(大正5)年に建てられたものだ。聖堂と聖堂内に置かれているイコノスタス(聖障)とは1983(昭和58)年に国の重要文化財に指定されている。
「修理工事を終えたら、一人でも多くの方に、日本の正教会の発祥の地に建つ私たちの聖堂を訪れていただきたいと願っています」と同教会の長司祭・クリメント児玉慎一さん。
工事期間は来年1月より2022年冬までの予定。この間、聖堂内の見学はできなくなるが、礼拝は別棟の信徒会館に仮聖堂を設けて行うという。
函館ハリストス正教会
北海道函館市元町3−13
電話:0138-23-7387