「愛の連鎖」をテーマにゴスペルチャリティ・イベント2025を開催 分かち合い、共に生きる世界を目指して

「東京ワールド・フード・デイ・クロス・ゴスペル2025」が3月15日、お茶の水クリスチャン・センター (東京都千代田区)で開催された。これは、ハンガーゼロで親善大使を務めるゴスペル・アーティストの白鞘慧海(しろさや・さえ)さんが代表を務める社会支援団体「Everlasting LOVE Project(えばらぶ)」とハンガーゼロの共催で、国連が定めた世界食料デーに合わせて毎年開催されているゴスペルチャリティーイベント。8回目となる今回のテーマは「わたしから始める、愛のChain Reaction(連鎖)」。会場には80人が集まり、パワフルであたたかいゴスペル音楽を共に楽しんだ。

2017年にスタートした同イベントは、途中コロナ禍の影響によりオンラインでの開催を余儀なくされた時期もあったが、昨年からは再び対面での開催に戻り、ゴスペルファンを喜ばせた。今回は、同イベントの趣旨に賛同し参加してくれたスペシャルバンド(ピアノ、キーボード、ベース、パーカッション、ギター)も加わり、切れ間ない音楽の中でプログラムは進んだ。

最初に行われたのは、白鞘さんのミニライブ。白鞘さんは、1995年にシンガー&ソングライターとしてメジャーデビューしたあと、2002年にクリスチャンとなり、その後音楽キャリアを一時休止していたが、14年から音楽活動を再開し、ソウルフルな歌声と音楽を通して、神の癒(いや)しや、励ましを人々に伝えていくゴスペル・アーティストとなった。現在は賛美を中心としたコンサート活動を精力的に行っている。

白鞘慧海さん

ミニライブでは、「KEEP MOVIN’ ON」「BLOSSOM」「Amazing Grace 〜I Believe」の3曲が披露された。2曲目の「BLOSSOM」は、東日本大震災の時に祖母を失った孫の思いをもとに作った歌だ。「私たちは、誰かしらの犠牲のもとで立ち、人生を送っているのではないか。このことを『ありがとう』と感謝して受け取って、自分が与えられた未来を歩んでいけたら」という思いを込めて作ったことを明かした。

「Amazing Grace」にオリジナル部分を織り込んだ「Amazing Grace 〜I Believe〜」でライブを締めくくったあと、ハンガーゼロ巡回牧師の田村治郎さんによる講演が行われた。

田村さんは、国連の2023年の報告をもとに、世界で飢餓に直面している人が約7億5,700万人で、世界人口の11人に1人が飢餓状態にあることを数字で示した。そのうえで、飢餓を引き起こす貧困から脱却し自立をはかるためハンガーゼロでは、貧困地域の子どもたちの健康と教育環境を整えるなど多岐にわたって活動していることを語った。目指すのは、「生きていてよかった、生まれてきてよかった」と誰もが思えるようになることだと田村さんは話す。

田村治郎さん

また、他者に手を差し伸べ続けることの大切さを話し、「自分とは違う人たちを同じ人間として見てほしい。聖書では、すべての人間は神の姿に似せて作られた神の作品といっています。一人ひとりの人生にはそれぞれ神の意図があります」と伝えた。ハンガーゼロが取り組む「チャイルドサポーター」も紹介し、「世界の人たちと分かち合い、共に生きていきたい」と力を込めた。

講演のあと、白鞘さんが世界食料デーのために作った「ぼくらの世界」をスペシャルバンドの演奏で歌った。「僕らは愛し合うために生まれてきた、僕らはこの世界で助け合いながら強くなれる」という歌詞が心に残る。続くゴスペル・タイムでは、クロスゴスペル スペシャルクワイヤと白鞘さん、ゴスペル・シンガーのChirs(クリス)さんらも加わり、ゴスペルの演奏が盛大に響き渡った。

「Let It Rise」「Because of who You are」「Glorious」と続き、最後には同イベント恒例ともいえる「R・H・Y」を熱唱した。「R・H・Y」はRaise Your Hand(手をあげて歌おう)の頭文字をとった元気な歌で、観客も手を振ったり、立ち上がったりして、出演アーティストと一体となってゴスペルの世界を楽しんだ。

この日は、クリスチャン以外にも参加者が多く、ゴスペルが広く受け入れられていると感じた。神奈川県から参加した女性もノンクリスチャン。「ゴスペルの素晴らしい歌声に圧倒された。たくさんの力とやさしさを受け取った。日本に住んでいるだけでは分からない活動も知ることができた。今後の生活を考えるきっかけにしたい」と感想を述べた。

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