ドイツ改革派 「LGBTQは悪魔的」発言の牧師に有罪判決

ドイツ人で改革派に所属するオラフ・ラッツェル牧師のLGBTQに対する差別発言に対しブレーメン地方裁判所は8月、有罪判決を下した。米紙「クリスチャニティ・トゥデイ」が報じた。

同氏は過去、ベルリンのLGBTQプライドの祭典について「犯罪者たち」と非難するなど、その言動が疑問視されていた。2019年の結婚セミナーで、同性愛について「退廃的で悪魔的である」「ジェンダーの汚物」と発言した内容がYouTube上で拡散。民衆扇動罪(特定の民族・宗教などの集団に対する憎悪から暴力などを誘発する行為を禁止する規制)に該当するとして起訴され、90日間、1日あたり90ユーロ(約1万4500円)の罰金を支払う命じる判決が言い渡された。ただ検察庁は、同氏が半年以内に非営利団体「Rat & Tat-Zentrum für Queeres Leben(クィア・ライフのための助言と行動センター)」へ5千ユーロ(約80万円)を寄付した場合、訴訟を取り下げると発表した。

これを受け同氏は、判決に同意した上で「人々を傷つける発言をした」と謝罪。判事も「彼の反省は本物」と述べ、「犯罪としての侮辱の定義は法学者の間でも論争がある」とし、信教および表現の自由か人権侵害かは個別事例によると補足した。

ただラッツェル氏の言動に関する問題はこれに留まらず、2015年にもブッダを「年老いた太った紳士」、カトリックの聖遺物を「汚物」 、イスラームの祝祭を「ゴミ」と発言したりするなど注目を集めていた。

信仰上の言動であっても、他者の尊厳や人権への攻撃が認められる場合は訴訟問題に発展することが明らかとなった。ラッツェル氏は教会当局から懲戒処分を受ける可能性がある。実際、2020年には懲戒手続きが開始されていたが、刑事事件の結果が出るまで保留とされていた。教会幹部は声明で、裁判が正式に終結すれば「速やかに」対応すると述べた。

(翻訳協力=福島慎太郎)

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