フェリス女学院大学 国内唯一、学長・副学長すべて女性によるトップマネジメントで教育改革を推進 新生「開かれたフェリス」へ

日本で最も古い近代女子教育機関をルーツとするフェリス女学院大学(横浜市泉区)は、2025年4月にグローバル教養学部を開設することを発表した。教員組織の大幅な移行を伴う改編は、1997年の国際交流学部開設以来28年ぶり、全学改組は1965年の開学以来初となる。

同大では、今年4月には小檜山ルイ氏が同大の新学長に就任し、2人の副学長(武井涼子教授、杉之原真子教授)も女性が務める。日本の私立大学おいて女性によるトップマネジメント体制は国内初だ。そのような体制の中で「これからの世界を生き抜く力をもつ女性を育てる」ことを目指し、教育改革を進めてきた。

現行の3学部5学科を1学部3学科9専攻、そして4つの副専攻を備えた体制に移行する。現在の産業構造の変化に伴い、変わりゆく未来に対応する学びを機動的に、そして柔軟に提供するための改組だ。また、女子大ならではの教育と現代の大学の機能を備えるために「開かれたフェリス」のテーマのもと、「開き」を共通の言葉として以下の3つを実施する。

写真提供=フェリス女学院大学

まずは、実践的な技能・能力を含めた幅広い学びの機会を多くの学生に開き、学生の個別的関心や知的好奇心を優先し、女性の自尊心を育んでいく。次に、社会に対してフェリスを開き、これまで以上に地域や企業、教育機関などとの連携を進め、学生が学外で実践的に学べる機会を提供する。最後に、ジェンダーをめぐる学知と活動をサポートする環境を、大学全体、そして学外に開いていく。すでに2023年にジェンダー・スタディーズ・センターを開設し、大学全体でジェンダーに関する学びや活動に取り組む体制を整えてきた。今後はより一層、学内外でのジェンダーをめぐる学術と活動を学内外に開いていく。

同大では、今回の改革により全ての学生は、自分の関心に沿った学びを通してグローバル教養を身につけることができるほか、より卒業後の実社会で求められるスキルを身につけられることができるようになると意気込む。2024年6月発表の世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数で、146か国中118位と低迷を続ける日本だが、そんな中において同大では、21世紀の「新しい女性」の輩出を目指し、「開かれたフェリス」の実現を目指す。

今月3日に行われた新学部開設に関するメディア発表会で、小檜山学長は改組の経緯や同大のビジョンについて次のように表明した。

「フェリスという女子大学の空間は、女性が自尊心を養うことができる、女性のための拠点です。今回の改組で、女性を中心に置き、同時に、多様な人々や社会に『開かれた』拠点の構築を目指します。本学で学ぶことで、自立する力と自尊心を育み、その上で、他者を愛することができるようになることを願っています。社会に『希望を与えうる女性』を送り出すべく、150年以上にわたる女子教育の経験の上に大胆な革新を加えてまいります」

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