新型コロナウィルスの出現によって、礼拝のあり方、信徒同志の交わり、地域への伝道など大きく様変わりした今年のキリスト教界。
「変わったのは、キリスト教界だけではなく、むしろ活動を活発化させているのが、現代のカルト集団なのです」
異端・カルトからの救済などを担う「異端・カルト110番」の共同代表で、日本イエス・キリスト教団横浜栄光教会の小岩裕一牧師はいう。
コロナによって、直接会うことが出来ず、礼拝すらできない教会も多い中、zoomやyoutubeを取り入れ、礼拝やミサを守る教会が増えてきた。高齢化するキリスト教界において、インターネットなど新たな仕組みを取り入れるのはリスクも高いが、これを機に伝道の一つの手段として取り入れるのは、むしろ良い変化と言えそうだ。
しかし、それを逆手にとっているのが異端、カルトの集団だ。「もともと、カルト集団はネットを通じた勧誘に長けていました。コロナ以前から、SNSやYoutubeなどは積極的に取り入れていた上、非常に見せ方も取り入れ方も上手でした。そうした土台があって、コロナの時代を迎えたので、教会のHPすら何か月もアップしていないキリスト教会が、急にインターネットを使った伝道をしようとしても大きな開きがあったのです」と小岩牧師は指摘する。
コロナの時代に入り、相談件数は明らかに増えてきているという。コロナの影響で、塞(ふさぎ)ぎこんでしまったり、引きこもりがちになり、心が疲れている人が多くなってきているというのも一つの理由といえそうだ。
直接人と会ったり、集会をする機会が少ない今は、若者たちがオンライン上に居場所を求めている。そうした若者たちをうまくキャッチして、決して強引に勧誘することなく、魅力ある集会を少人数で行い、少しずつマインド・コントロールをしていくのだ。実際、異端・カルトと呼ばれる集団のホームページなどを見ると、のぞいてみたくなるような魅力的な情報が載せてあったり、行ってみたくなるような集会が企画されているのだという。
両親がクリスチャン、教職者だからといって、例外ではない。学内での聖書勉強会などは、クリスチャンの家庭でも歓迎されがちだが、その中にうまく入り込んでいるカルト集団も多いので、注意が必要だ。一度、つながりができると、LINEなどをうまく駆使して、連絡を取り合い、「おはよう。今日は何をするの?お祈りしてるね」などの会話が日常的となり、心の隙間に入ってくるのだという。
こうしたSNS上でのつながりをした後、ハードルを下げたところに、友人どうしの食事会などから、月に一度ほどの「バイブル・スタディー」と称する集会を持ち、徐々に引き込んでいくのだ。
「友達の友達が一番危ないですね。友達というのは、元々ハードルが低いですから。それから、SNSの中で一番危ないのは、LINEとFacebookですね。いろいろな個人情報があふれていますから」と小岩牧師。
異端・カルトは、「マインド・コントロールの手法を駆使して、わずかなチャンスを逃さずに勧誘をする」と小岩牧師は表現している。それだけに、誰でもターゲットになりうるし、誰でも簡単に引き込まれてしまうのだ。
「都会だから…田舎だから…といった土地柄も、ほぼ関係ありません。また、教派や神学によって狙われやすい教会があるか…といった質問もよく受けますが、それも関係ありません。彼らは、適応能力にも長けているので、仮に外国から入ってきた異端教団でも、日本に合うようにうまく形や手法を変えて勧誘をしていくのです。カルト教団の情報は、本当にめまぐるしく変わります。勧誘の方法も次々と変わっていきます。それらの情報はできるだけこまめに調べて、頭に入れておいていただきたい。少なくても三年に一度はセミナーなどに参加して、情報を取り入れてほしいですね。もし、身近に異端やカルトに接触しているのではないかと思われる人がいましたら、迷わず相談を」と訴える。
異端・カルトのご相談、情報は「異端・カルト110番」へ。