【インタビュー】聖契神学校校長・関野祐二さん 超教派でライフ・スタイルに合った学び方ができる(後編)

 

──現在、学生数は何人ですか。

5月現在で、学生数は76人(基礎科35人、専門科28人、聴講11人、特別聴講2人)です。

──超教派ということで、どのくらいの教団・団体から来ているのでしょうか。

10~20の間くらいだと思います。神学校それぞれに特色があるので、うちで無理な人は他の神学校を推薦したり、向こうでもこちらを推薦してもらったり。また、編入というかたちで入ってくる人や、足りない単位を取りにくる人もいます。

牧師として教会に奉仕する人を対象にした専門科の授業。

──フレキシブルで、他の神学校にはありがたいですね。

学ぶ人が主体ですから、効率よく良い学びができるのが一番だと思っています。全寮制でないうえ、単位制なので、「そんなところで人格教育ができるのか」と心配されることもあります。しかし、違う教団・団体の人とクラスで一緒に学ぶことにはすごくメリットがあって、違いを互いに認めながら、自分の団体の特色を学んでもらう。それも大切な人格教育だと思います。聖契キリスト教団がもともとそういう性格を持ったゆるやかな団体なので、神学校もそれを受け継いでいます。これもわが校の特色です。

──最近のトピックを教えてください。

今年3月に、初めて神学校主催のイスラエル旅行に行ってきました。今後も2、3年に1度くらいの割合で継続できればと思っています。

授業の合間にもたれるチャペル・タイムでは、神学生が交代でメッセージを語る。

──教師も教団外から招いているのですか。

教師陣(敬称略)は、赤星典徳(日本長老教会・井荻福音キリスト教会牧師)、井上義(日本同盟基督教団・等々力教会牧師)、井上誠(単立・鶴川キリスト教会牧師)、ギャリー・カールソン(日本聖契キリスト教団・湘南コミュニティチャーチ協力宣教師)、勝本正實(同・新秋津キリスト教会協力牧師)、杉本玲子(新生キリスト教会連合・町田クリスチャンセンター教育牧師)、ジム・ピーターソン(日本聖契キリスト教団宣教師)、本多公久(日本福音キリスト教会連合・こどもの国キリスト教会牧師)、松原智(福音伝道教団・笹塚キリスト教会牧師)、松本雅弘(カンバーランド長老キリスト教会・高座教会牧師)、丸山悟司(日本バプテスト教会連合・御園バプテスト教会牧師)、山﨑ランサム和彦(日本聖契キリスト教団・鶴見聖契キリスト教会協力牧師)、吉川直美(単立・シオンの群教会牧師)と、教派も多岐にわたっています。

──聖契神学校ならでは授業科目などはありますか。

「霊性の神学」(担当:吉川直美さん)でしょうか。福音派は言葉で福音を伝えることに集中してきたので、この分野はあまり進んでいません。でも、人間は五感を持つホリスティック(全体的)な存在ですから、とても大切な分野です。神学校では特殊な分野なので、それを学びたいと言ってくる人もいるほどです。あと、年に数回、一般公開のセミナーも、授業のない土曜の午後などに開いています。

図書館

──学生に望むことは何ですか。

社会の中で教会が「地の塩、世の光」となっていくために、学生たちには社会の動きに敏感であってほしい。従来の神学と新しい神学を両方学んだ上で、今の日本で実践的に牧会伝道ができる人たちを育てたい。そのためには、私たち教師も社会の動きを常にキャッチする必要があります。聖書を土台にした実践的神学教育ということでしょうか。

──今の時代、神学校には何が求められるのでしょうか。

世界情勢に始まって、国内でも高齢者やLGBT、貧困家庭の問題など、神学校にはさまざまな情報が集まってきます。それらについて神学校ではどういう備えをすればいいのか。神学校にできることはわずかですが、現場に出た時に、この情報、この資料、あるいはこの人に聞けばこの問題は分かる等々、いろいろな引き出しを持ってほしい。その中への入れ方と開け方を身につけてもらって、現場に出てほしいと思っています。

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