インターネットでカウンセリング・ビデオ講座が視聴できる 5月中旬より配信開始

 

キリスト教カウンセリングセンター(CCC)は、インターネットで講座を視聴できる「カウンセリング・ビデオ講座」(有料)を5月中旬より始める。そのビデオ収録が14日、同センター(東京都豊島区)で行われた。

キリスト教カウンセリングセンター(CCC)のホームページ

東京から離れた地域に住む人が「講座を受けるにはどうすればいいか」と問い合わせてくることが以前からあり、CCCではその方法をずっと模索してきた。ホームページを担当しているシステム・エンジニアが、東京バプテスト神学校で「ライブ授業」を行っていることから、「これなら、地方の人だけでなく、定期的に通って受講することが難しい人も安心して学べるのではないか」と話し合い、配信の準備が始まった。

ビデオ講座では、パソコンやスマートフォンでいつでもどこでも受講することができる。CCCのホームページから、専用のIDでログインすることにより視聴が可能だ。

この日は「人の心について」3本分の講座が収録された=14日、キリスト教カウンセリング・センター(東京都豊島区)で

19年度はプレ・シリーズとして、カウンセリング講座本科2年の「いろいろな相談ケースとそのケア」の中からすでに録画・編集していた以下の8講座と、新たに録画した後述の5講座を配信する。講師はCCC理事長賀来周一(かく・しゅういち)さん(元ルーテル学院大学教授、日本福音ルーテル教会定年牧師)、「いのちの電話」を立ち上げた副理事長の斎藤友紀雄(さいとう・ゆきお)さん(日本自殺予防学会前理事長、日本基督教団隠退牧師)、マサチューセッツ州認定臨床心理士の谷口万稚(たにぐち・まち)さん。

「生きづらさを抱えた人々とそのケア」(賀来周一)
「スピリチュアルケアについて」(同)
「高齢者の課題」(斎藤友紀雄)
「思春期の自傷行為」(谷口万稚)
「虐待について」(同)
「ワークライフバランス」(同)
「アルコール・薬物依存」(同)
「インターネット依存」(同)

これらは、本科のカウンセリング講座(入門から自己理解、他者理解へと進むカウンセリング・マインドの学び)とは趣旨が異なり、現段階では発信のみで、個別の質問に答えることはできない。だが、専門分野のさまざまな問題を分かりやすく、カウンセリングの視点から学べる内容となっている。

ビデオの試聴期間は1年で、その間、自分のペースで何度でも見ることができる。そのため、定期的に通って受講することが難しい人でも安心して学べる。1講座は約60分。各講座には、レジュメと関連図書の紹介もある。

藤堂宗継さん

この日、収録に臨んだのは、山﨑病院(東京都清瀬市)と歌舞伎町メンタル・クリニック(同新宿区)でカウンセラーをしている藤堂宗継(とうどう・むねつぐ)さん(臨床心理士)。「発達障害」(2回)、「人の心について」(3回)という講座を担当する。

「この講座では、カウンセリングを学ぶ上で分かっていたほうがいいことを話しています。自分のことでも人のことでも、心の中身の中心的なことが分かっていると、今後の学びに広がりが出てくるのではないでしょうか」と藤堂さん。

また、参加条件には信仰の有無が問われることないが、中心にキリスト教を持っていることで、話の受け止め方や理解の仕方が変わってくるという。

「キリスト教は、いつも椅子の下にある土台のようなもの。それをしっかり持っているかどうかで、座り方や応対の仕方が違ってくるのではないでしょうか。また、ちゃんとしたものがどこかにあるということは、カウンセリングをする人の拠(よ)りどころにもなります」

斎藤玲子さん

事務局の斎藤玲子さんは次のように説明する。

「CCCの講座でカウンセリングを学びながら、これまでとは角度を変えた考え方や見方を発見できると思います。以前の本科授業を録画した8講座については、画質や音質の面ではクオリティーはさほど高くありませんが、臨場感あふれる内容になっています。20年度からは、19年度のビデオ講座よりも一歩踏み込んだカウンセリング講座を配信しようと思っています」

今後の予定については、CCCのホームページを。

CCCは、自己成長と隣人援助の働きを目的として、1984年に設立された。プロテスタントとカトリックを合わせて33教派の教会が参加する超教派の働きで、30年以上にわたって活動を続けている。現在、神学校以外でキリスト教カウンセリングを学べるのは国内では1、2箇所。CCCでは2年間でカウンセリングに必要な基礎知識とその体験学習を学べる。さらに学びたい人のために専攻科1年課程や継続プログラムもあり、CCC独自の認定カウンセラーの資格制度もある。都内に教室(19年度は日本聖書神学校の予定)を借りて講座を開いている。

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