【chiyoのGOD ONLY KNOWS!】第11回 ブラジルにて(後編)

前回のコラムで2013年の夏にバンドの有り金ぜんぶはたいて、片道40時間をかけてブラジル行きを決めた話までしましたが、この決断にはもうひとつのテーマがありました。

当時バンドはすでに全国の教会でのコンサート活動もはじめていたのですが、メンバーのなかでクリスチャンだったのは僕だけでした。ほかのメンバーに僕から直接伝道することは、ほとんどありませんでしたが、いつか神様と出会ってほしいという想いはずっとありました。ブラジルで起こっている100万人の大リバイバルという奇跡を通して、目には見えない神様と出会うきっかけになってくれたら、サルーキ=は次なるステージに進めるのではないか、と僕は思ったのです。

僕らメンバーを乗せた飛行機は成田空港を出発して西廻りでブラジルを目指しました。ユーラシア大陸の上を飛行し、アラブ首長国連邦でガソリンを給油し、さらにアフリカ大陸のうえを飛んで、大西洋をわたり、ようやくブラジルのサンパウロに到着。そこからさらに国内線に乗り換えて、目的地であるアマゾナス州マナウスには実に丸40時間かけて到着しました。飛行場には現地で僕らをお世話してくれるエリベルト牧師が迎えにきてくれて、車で自宅まで連れてってくれたのですが、夜中だったのでもう寝ることに。

現地で試されるのは、言葉がわからないので、次の日の予定をきけないこと。(ブラジルの公用語はポルトガル語で英語はほとんど通じない) 翻訳アプリなんかを使って一生懸命きくけど、やはり詳しくわからないので、とにかく彼を信頼してついていく(笑)。まさに信仰がためされるとはこのことでしたが、言葉は通じなくても彼は本当に温かくいい人で、彼の家族もよくしてくれました。共通の友人がイエス様というだけで、神の家族は世界中にいるんだなあということを実感・・・。
そしてマナウスに到着して数日後、100万人のジーザスマーチ当日を迎え、僕らは装甲車のような車の甲板に乗せてもらいました。 そこから見える景色はまさに人の波、どこまでも続く人の地平線をみながら、僕らを乗せた装甲車の巨大スピーカーから爆音で流れる賛美に皆がジャンプしながら喜び歌い、街を練り歩くのを見て、まさに街が賛美で満たされていく奇跡の光景のなかに僕らはいました。

日本では考えられないファンキーな彼らの賛美ですが、印象的だったのが、病院の前を通過するときになると、一斉に立ち止まり、病院の方を向いて皆が手をあげて真摯(しんし)に祈る姿でした。そもそもこのお祭りはバカ騒ぎをするために始まったんじゃない。それどころか、治安の最悪だったこの街を、賛美と祈りによって回復するために、初めはたった50人のクリスチャンで始めたというのです。その小さな一歩を神様は大きく祝福して、この20年でなんと100万人のクリスチャンが起こされ、街の治安は回復し、いまは市長も参加する街をあげてのイベントに成長したという、まさに”いまも生きて働く神”を体感する瞬間でした。

神の愛は人生も変えるが、街も変えるんだ。 そして”イエス様の夢”ってまさに愛と平和だな。そんなことを思っていたら、隣でメンバーのモーリーが一言、「神様ってすごいね」ってつぶやいていました。

僕たちはこのマーチの終着点である巨大スタジアムで3曲だけ演奏させてもらうことになり、なんと32万人の大観衆のまえでライブするという考えられない体験をしました。 バンドの長年の夢でありゴールだと思っていた日本武道館にむけて、500人ライブ、1000人ライブ、2000人ライブと、ステップを踏んできた僕たちでしたが、もうこれ以上は無理だというところで、不思議とブラジルに導かれ、そこで武道館1万人をはるかに超える大観衆の前で演奏するという、だれも予想しなかった神様の計画に、 「神の計画は人の計画よりはるかに高い」という聖書の言葉を思い出し、こんな素晴らしい体験をさせてくれた神様に、これから恩返しをしていこうという気持ちが自然と湧き上がってきたのでした。

人生はまさにGOD ONLY KNOWS! この続きはまた次回のコラムで。
☆chiyo☆

chiyo

chiyo

ロックバンド「サルーキ=」のボーカリストとして2003年テレビ朝日ミュージックよりデビュー。これまでに8枚のオリジナルアルバムを発表し、最新作「忠実のロックンロール」は伝説のシンガーソングライター小坂忠氏の監修のもと制作された。渋谷公会堂、日比谷野音などの単独ライブを経て、現在も国内外で年間120本のライブ活動を続けている。

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