カトリック福岡教区、公開ミサの中止を4月30日まで延長 「聖週間」も各司祭が個別に

 

カトリック福岡教区(使徒座管理者:杉原寛信司祭)は26日、「新型コロナ・ウイルス感染症に伴うミサ中止延長と聖週間の過ごし方について」という文書を発表し、共同体での公開ミサ聖祭の挙行中止を4月30日まで延長すると通知した。4月5日からの「聖週間」は、共同体の信徒が集うことなく、各司祭が個別に行うという。

福岡司教区カテドラル・カトリック大名町教会(写真:Atsasebo)

福岡教区は、福岡県、佐賀県、熊本県を管轄区域とする。福岡県で9人、熊本県で8人、佐賀県で1人、新型コロナ・ウイルスの感染者が確認されている(26日現在)。

まず2月26日に「緊急のお知らせ」として、「2月27日(木)から3月14日(土)まで、公開のミサを中止」すると発表。その後、3月11日付の「新型コロナ・ウイルス感染症に伴う、ミサ中止延長の発表」で、「3月15日(日)から3月29日(日)まで、公開のミサを中止」と、措置の延長を決めた。今回、さらに1カ月間、公開ミサが中止されることになる。

福岡教区では毎週の「主日の音声説教」をユーチューブで聴くことができるようにしている。

新型コロナ・ウイルス感染症に伴うミサ中止延長と聖週間の過ごし方について」の全文は次のとおり。

福岡教区の司祭・修道者・信徒の皆様、新型コロナ・ウイルス感染症拡大により、大きな不安の中、神への祈りのうちに過ごしておられることと思います。

ご存知のように、新型コロナ・ウイルス感染症は全く終息に向かってはいません。地域により差異はありますが、世界的に爆発的な猛烈感染拡大の状況です。

日本国内において、そして福岡教区内におきましても、日々、感染者が増加しているのはご承知の通りです。痛みのうちにも、この事実を客観的にありのまま受け入れなければなりません。

この状況の中、信仰者としての私たちのあるべき姿を共有し、最善のご協力をお願いしたく、痛みをもって呼びかけさせていただきます。新型コロナ・ウイルス感染症予防と終息のために、できる必要不可欠なことを、一致のうちに前向きに全力をもって行いましょう。

四旬節を過ごしている私たちは、聖週間を例年のごとく当たり前のように迎えることを考えています。しかし今年は、私たち一人一人が持っている当たり前から、勇気をもって一歩踏み出すべく促されているのではないでしょうか。それは本当に辛く苦しいことです。ある意味、現代の神の民である私たちに求められる「出エジプト」のように思えます。私たちの目指すべき約束の地が指し示されています。そこに向かって勇気をもって進まなければなりません。

福岡教区は次の決定をいたしました。教区の皆様、真剣に受け止めてください。

①共同体での公開ミサ聖祭挙行中止を4月30日まで延長し、信徒の皆さんの主日ミサ参加義務を免除致します。「聖書と典礼」を信徒に配布するなどご配慮ください。

⇒各司祭たちは信徒の皆さんの思いを大切に、霊的一致のうちに、より真剣にミサを個人で捧げてください。

②聖週間は共同体の信徒が集うことなく、各司祭が個別に行うことになります。受難の主日、聖木曜日、聖金曜日の典礼は、司教座聖堂及び小教区聖堂の他、神学校、司祭の家、修道院でもささげることができます。聖金曜日の盛式共同祈願に「新型コロナ・ウイルス感染症に苦しむ世界のため」の意向を追加してください。復活徹夜祭は、司教座聖堂及び小教区聖堂においてのみささげられます。小教区の主任司祭は聖週間の典礼の時刻を信徒に知らせ、各自の住まいで心を合わせて祈るよう呼びかけてください。このことに関して司祭たちは、バチカンからから出された教令に従ってください。

③復活祭の洗礼式を予定されている小教区は、公開ミサ再開後、共同体としてふさわしい日を選び行ってください。

④「聖香油ミサ」(2020年4月8日)を延期します。日程は後日お知らせします。

⑤4月29日(水・祝)に予定されていました「船津亮太助祭の司祭叙階式」は延期します。日程は後日お知らせします。

⑥葬儀・結婚式に関しては、万全な感染症対策のもと、現場司祭の賢明な対応をお願い致します。

⑦集会・行事につきましては、中止・延期の決断をお願い致します。

⑧公開ミサ中止が続き、四旬節は残り少なくなりました。献金を集めるに困難な状況ではありますが、カリタスジャパン四旬節献金へのご協力をよろしくお願いいたします。

⑨パンデミック状況下における信者への特別免償の付与

⇒使徒座内赦院は、新型コロナ・ウイルス感染症に関して、以下の規定の通り、全免償の恩恵を授けます。

1 新型コロナ・ウイルスにより、病院もしくは自宅に隔離されている信者の方々は、神への信仰と隣人へのいつくしみと愛をもって、次の祈りを唱える。
・信仰宣言
・主の祈り
・アヴェ・マリアの祈り

2 新型コロナ・ウイルスの医療従事者、患者の家族、関係者の方々は、神への信仰と隣人へのいつくしみと愛をもって、次の祈りを唱える。
・信仰宣言
・主の祈り
・アヴェ・マリアの祈り

3.新型コロナ・ウイルス感染の終息と、これに苦しむ人々への慰め、そして主が自らのもとへ呼び寄せられた人々の永遠の救いを、全能の神に祈願する人は、ロザリオ、十字架の道行き、聖体訪問、聖体礼拝、最低30分間の聖なる読書のうちのいずれかを行い、神への信仰と隣人へのいつくしみと愛をもって、次の祈りを唱える。
・信仰宣言
・主の祈り
・アヴェ・マリアの祈り

以上は、専門家委員会を通しての国の呼びかけ、また福岡教区の信徒の医療専門家の方々の的確な助言をもとに、顧問会にて話し合い決定いたしました。

心の目を凝らして現状を見つめましょう。自分目線のこだわりに偏らず、安易な行動が悲惨な状況を生み出すことのないよう、細心の注意のもとお過ごしください。

以上、よろしくご理解、ご協力お願い致します。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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