カトリック大阪大司教区の前田万葉大司教(枢機卿)は26日、「新型コロナ・ウィルス感染症にともなう措置」と題し、「教区の皆様」に宛てた文書を発表した。
そこでは、教区全体でミサを中止するまでには至っていないとしながら、ミサを司式する司祭が発熱したり、咳をしたりするなど、体調がすぐれない場合、ミサを司式しないよう指示した。また、主日のミサを代行する司祭が見つからない場合、ミサを中止してもかまわないとし、そうした状況で「信者には主日のミサに与(あずか)る義務はありません」と述べた。
新型コロナ・ウイルスの感染拡大に伴い、カトリック東京大司教区と札幌司教区ではミサ中止を発表したが、前田大司教は、現在の大阪教区では患者数が継続的に増えている状況ではないとして、以下の8項目の措置をとるよう教区の信者に求めた。
1 体調不良の場合、ミサ参加の自粛
2 ミサにはマスク着用(聖書朗読者や先唱者、侍者も)
3 聖水盤に聖水を入れない
4 入り口に手指消毒用アルコールの設置
5 司祭や臨時の聖体奉仕者の手洗い
6 聖体拝領の御血の拝領の中止
7 信者がミサ前にホスチアを移す場合、トング類を使用するか、その方式を中止
8 ミサ以外の講座や集会、会議などについて
「新型コロナ・ウィルス感染症にともなう措置」として、前田大司教が「教区の皆様」に宛てた文書は次のとおり。
+主の平和
新型コロナ・ウィルス感染症に関して、2月25日に政府(厚生労働省)が発表した基本方針では、
◆イベント等の開催について、現時点で全国一律の自粛要請を行うものではないが、専門家会議からの見解も踏まえ、地域や企業に対して、イベント等を主催する際には、感染拡大防止の観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討するよう要請する。(基本方針4-(1)-③)
◆地域で患者数が継続的に増えている状況では、積極的疫学調査や、濃厚接触者に対する健康観察は縮小し、広く外出自粛の協力を求める対応にシフトする。(同3-イ)-①)
とされています。
大阪教区下の現在の状況は、大阪府では感染者1名、兵庫県では0名、和歌山県では13名です。和歌山県の13名中6名はすでに回復して退院しており、22日以降新たな感染者は発表されていません。ですから、前述の基本方針で言われている「地域で患者数が継続的に増えている状況」ではありません。
このような状況を鑑み、大阪教区としては、去る2月1日に「司祭・修道者の皆様」に向けて発信した内容に加筆・修正した以下の措置をとるよう、皆様にお願いいたします。
1.体調不良の場合は、無理をせずに、ミサの参加への自粛をお願いします。なお、従来より、体調不良の場合は主日のミサに与る義務は免除されています。
2.ミサに参加する場合、なるべくマスクを着用してください。聖書朗読者や先唱者、侍者であっても、マスクを着用してかまいません。
3.当面の間、聖堂入り口などに置かれている聖水盤には、聖水を入れないようにし、その旨を表示してください。これは聖水がウィルスを媒介するためではなく、多数の人が指で触れる聖水盤にその危険があるとされるためです。
4.聖堂や信徒会館の入り口には、手指消毒用のアルコールを設置するようにしてください。
5.司祭や臨時の聖体奉仕者は、必ずミサ前に充分に手を洗ってください。
6.当面の間、両形態による聖体拝領の御血の拝領は取りやめてください。
7.ミサのために各自がホスチアをパテナやピクシスに入れる方式をとっている場合は、素手でホスチアに触れずに必ずトング類を使用するか、当面その方式を中止するようにしてください。
8.ミサ以外の講座や集会、会議などは、それぞれの必要性や参加者の状況から判断して、開催するか中止するかを適宜決定してください。
なお、ミサを司式する司祭は、熱があったり咳が出たりするなど体調がすぐれない場合は、ミサを司式しないようにしてください。主日のミサを代行する司祭が見つからない場合は、ミサを中止としてかまいません。そのような場合は、信者には主日のミサに与る義務はありません。
今後、大阪教区下で感染が拡大したり、政府や自治体から新たな方針が発表されたりするなど状況が変化すれば、改めて教区としての措置をお伝えするようにいたします。
大阪教区のみならず、全国、また全世界でこの新型コロナ・ウィルス禍が一日も早くおさまり、患者の方々が回復されるように、ともに祈りましょう。