香港のプロテスタント信徒らが黒服で礼拝に 中国で抑圧されているキリスト者を覚えて

 

中国四川省成都市にあるプロテスタントの家庭教会(政府非公認教会)、秋雨聖約教会の牧師らが昨年12月、拘束・連行され、100人以上の信徒の行方が分からなくなるなど、中国当局によるキリスト教弾圧が続いている。中国は9月、バチカン(ローマ教皇庁)と司教の任命権をめぐって暫定合意したが、欧米の価値観浸透を警戒してか、家庭教会やキリスト教徒への締めつけはむしろ強まっている。

聖ヨハネ主教座堂。1849年に献堂された香港に現存する最古の教会堂(写真:BrokenSphere)

そんな中、「中国の教会で抑圧されている人たちと抑圧する人の双方を覚えて祈ろう」という呼びかけに応じた香港のプロテスタント教会の信者数百人が、12月23日と30日の礼拝に黒服を来て参列した。

香港のプロテスタント諸教会はもともと、中国の教会組織の一部として発展してきた。その後も中国から香港に移入してきた教派が多くあったため、中国のキリスト教と結びつきを持っていたが、1949年に中華人民共和国が建国されて以後、双方の間での連絡が困難に。そこで香港の諸教会は、中国の教派から分離独立し、それぞれ香港を一つの単位とする教派を形成するようになった。

香港のキリスト教人口はプロテスタントが約48万人、カトリックが約37万4000人と(2014年の政府統計)、全人口の約10%にすぎないが、公立の小・中学校の約40%、社会福祉機関の約30%をキリスト教系が占めているなど、社会全体にキリスト教が根づいている。

そういう背景もあって、2014年に香港で起きた普通選挙をめぐるデモ活動「雨傘運動」ではクリスチャンが積極的に参加した。デモを計画・実施した香港大学副学長の戴耀廷(ベニー・タイ)は熱心なクリスチャンであり、民主化運動に長く携わってきた朱耀明(チュー・イウメン)もバプテスト派牧師。カトリック香港教区の陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿も運動の先頭に立った。学生組織「学民思潮」の元リーダーで「タイム」誌の表紙を飾った黄之鋒(ジョシュア・ウォン)もクリスチャン・ホームで育った青年だ。

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