福音派の著名な伝道者でリバイバル聖書神学校、関西聖書神学校の校長などを務めた有賀喜一氏(91)が、新使徒運動やカルト的な団体・個人と働きを共にしたことや、経歴詐称など「大きな罪を犯したことを心から悔い改め、告白いたします」との声明を、クリスチャン新聞12月22/29日付に広告の形で発表(公告)した。同広告には、富浦好之(日本福音教会国分福音教会牧師)、鎌野善三(日本イエス・キリスト教団西宮聖愛教会牧師)、金沢泰裕(イエス教日本世界宣教会大阪弟子教会牧師)各氏らの連名と『有賀喜一先生を愛する会』一同の名で、有賀氏が悔い改めに至った経緯と問題点についても併記されている。
日本のキリスト教界では、これまでにも著名な牧師・伝道者が不適切な団体や運動に関わり物議を醸した例があるが、それに関する悔い改めを当事者自身の責任で公告したのは異例のこと。その背後には、事態を憂慮した牧師たちが『有賀喜一先生を愛する会』を結成し、先輩伝道者の過ちを見過ごしにせず、忍耐強く忠告してきた努力があったことが窺える。
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https://クリスチャン新聞.com/?p=47047
キリスト教会では「悔い改め」「赦し」という言葉が安易に使われ、罪の処理が曖昧にされる風潮がある中で、今回の発表は大きな教訓・警鐘となるだろう。
「主イエス・キリストの教会 各位」へ宛てた有賀喜一氏の告白は以下のとおり。
主イエス・キリストの教会 各位
私は長年皆様と共に主の働きをさせていただいてきたことを感謝申し上げます。しかし、私の未熟さのゆえに神とキリストと教会に対し大きな罪を犯してきたことを心から悔い改め、以下に告白いたします。
1.複数の先生方から危険であるから関わらないよう忠告されていたにもかかわらず、世界的に警戒されている新使徒運動、カルト的な団体や個人と働きを共にしたことを悔い改めます。それらの働きを模範的な教会、リバイバルの兆しであると吹聴し、さらにインターネットによって拡散させてしまいましたので、これ以上の悪影響が拡がらないよう発言元と話し合い削除することを求めます。
2.①私の経歴に神学博士とありますが、それは偽りで学歴詐称の罪です。私の虚栄心と自己顕示欲に駆られた過ちを深く悔い改めます。また、それで報酬を得たことは刑事罰にも価するものであり、どんな処罰をも受け入れます。②私が授与された名誉神学博士は、実体の無いディプロマ・ミルであることが判明しましたので、悔い改めた証しとしてそれを返上します。③フラー神学校卒業とした記述は間違いであり、正しくは『世界宣教と教会成長』という研修を受けたのみです。
3.『有賀喜一を愛する会』の方々と、私を擁護される方々が対立し、日本のキリスト教会に分裂をもたらしてしまったのは私の罪のゆえであり、深く悔い改めます。今後、私は日本のキリスト教会の和解と一致のために生涯をかけてその修復に努めます。
4.これまで関わった団体と個人については、その分野に精通しておられる方々から教えをいただいてそのミスリードを正します。彼らが義の道に立ち返るまで支援活動を行ない、その実が結ばれたことを神と教会に認められるまで、公的な活動を自粛いたします。
5.単立教会を設立しようとする人に、他の牧師と祈ることなく個人的に牧師按手を執行したことを悔い改めます。今後は主の御名の権威を濫用するようなことはいたしません。
『有賀喜一を愛する会』を発足された先生方、超教派の宣教団体、神学校の教授陣が関わってくださり、聖書的、神学的に勧告してくださって私は悔い改めに至りました。引き続きその実を結ぶようお祈りくだされば幸いです。
有賀喜一
新使徒運動およびカルト的な働きは、聖霊による真実な神の働きと紙一重です。それゆえ、有賀喜一先生でさえ判断を誤られましたが、その過ちを真実な心をもって悔い改められ、生涯主に従って忠実に働かれることを願い、そして祈り、思いを同じくされる先生方と共に私たちは『有賀喜一先生を愛する会』を発足いたしました。この大きな問題をこのまま見過ごしにしていたなら、日本のキリスト教会と有賀先生自身は、さらに深刻な状況に至ったのではないでしょうか。
新使徒運動は非聖書的であり、かつ真実な聖霊の働きと認められないことから、全世界で公的に参加も交流も禁止されています。その働きが日本において減少することを私たちは心から祈っております。ただし、彼らの多くは三位一体の神を信じる信仰の兄弟たちであることを覚え、彼らもまた悔い改めて義の道へと立ち返るよう祈っています。
有賀先生は学歴詐称に対する刑事罰を受けることさえ告白されましたが、私たち自身も罪人なのですから、誰ひとり刑事告訴する者はなく、誰も有賀先生に石を投じることはできません。また名誉神学博士号を神学博士号であると詐称することは、有賀先生だけではなく他の牧師にも散見される、今日に至るまで日本に存在する、自己顕示欲と名誉欲による悪しき慣習というべきものです。今回の件を機に、その悪しき慣習が日本からなくなることを心から祈ります。
この有賀先生の問題を表面的に捕らえて私たちの言動を非難し、日本のキリスト教会が分裂に至ったことに心を痛めます。しかし、有賀先生が罪を認めて悔い改められたことによってその軋轢が解消され、共に主の働きに励めることを信じて祈ります。
今後有賀先生がミスリードしてしまった人を教え導き、彼らが義の道に立ち返り、実を結んで神と教会に認められるまで、その救済活動を続けられることを祈りつつ、有賀先生ご自身も真実の道を歩まれることを信じて御手にゆだね、『有賀喜一先生を愛する会』の働きをここに終結いたします。
文責:金沢泰裕
証 人
宗教法人日本福音教会
国府福音教会牧師 富浦好之
宗教法人日本イエス・キリスト教団
西宮聖愛教会牧師 鎌野善三
宗教法人イエス教世界宣教会
大阪弟子教会牧師 金沢泰裕
『有賀喜一先生を愛する会』一同