日本聖公会関係学校展「日本における聖公会の教育機関・関連施設──その創立と現在」(主催:日本聖公会関係学校展実行委員会)が、立教大学池袋キャンパスにある立教学院展示館で開催されている。9月20日まで。
日本には、各国の聖公会宣教師らが設立したさまざまな教育機関がある。今回の展示は、立教学院や立教女学院、香蘭女学校、聖路加国際大学、聖ステパノ学園、キープ協会(日本聖公会関係学校協議会に所属する関東圏の6法人)が、それぞれの特色と背景にある聖公会の魅力を知ってもらいたいと企画した。
展示されているのは、関東圏では先述の6法人のほかに聖公会神学院も加わり、関西方面では、柳城学院、プール学院、桃山学院、松蔭女子学院、八代学院、そして英国にある立教英国学院だ。それぞれの創設者の功績を振り返り、今もなおその精神が脈々と受け継がれている姿を紹介する。
展示は、「カトリックの伝統を受けたプロテスタント的な教派」である聖公会についての解説から始まる(立教学院が2011年に作成したブックレット「立教人のためのキリスト教小事典」から)。16世紀、イングランド国王ヘンリー8世がカトリックから分離して生まれたプロテスタントの一つであることや、典礼の儀式などはカトリックの伝統を受け継いでいるため、他のプロテスタント諸教派とは異なっていること、ただし教義的には聖公会独自のものがあり、他のプロテスタントと通じるものも多くあると説明されている。
立教学院(東京都豊島区)は1874年、米国聖公会の宣教師チャニング・ウィリアムズが開いた。立教女学院(東京都杉並区)もウィリアムズらにより77年、設立された。香蘭女学校(東京都品川区)は英国国教会から派遣されたエドワード・ビカステスにより88年に開校した。聖路加国際大学(東京都中央区)は1920年に米国聖公会の宣教医ルドルフ・トイスラーが創立した聖路加国際病院附属高等看護婦学校を母体とする。
柳城学院(名古屋市)は1898年、カナダ聖公会のマーガレット・ヤングによって創設された。プール学院(大阪市)は79年、英国国教会のミス・オクスラドにより設立。桃山学院(大阪府和泉市)は84年、英国国教会のチャールズ・ワレンが始めた。松蔭女子学院(神戸市)は92年、英国国教会H・J・フォスらにより創設。
日本人が設立したのは聖ステパノ学園と立教英国学院、そして八代学院の3つ。聖ステパノ学園(神奈川県大磯町)は、児童養護施設エリザベス・サンダーホームの創設者として知られる聖公会信徒の澤田美喜(さわだ・みき)が最初、ホームの子どもたちのため、1953年に創設した。英国にある立教英国学院は、立教高等学校(現在の立教新座中学・高校)校長だった縣康(あがた・やすし)が定年後、英国の地に日本人青少年のための学校を作りたいという夢を72年に実現させたものだ。八代学院(神戸市)は63年、のちに日本聖公会の首座主教になった八代斌助(やしろ・ひんすけ)が創設した。
キープ協会(山梨県北杜市)は、八ヶ岳山麓の観光地である清里高原にある清泉寮を運営している。今では濃厚なソフトクリームが有名で、一般の人にも人気がある清泉寮はもともと、「清里開拓の父」と呼ばれる立教大学教授ポール・ラッシュによって設立された指導者訓練キャンプ施設。
同展示館の豊田雅幸(とよだ・まさゆき)さんは、今回の展示会について次のように話す。
「聖公会と何かコラボをしてやりたいと考えていて、これまでも『わが人生、日本の青年に捧ぐ──知られざるポール・ラッシュ物語』や、昨年は『咲くはわが身のつとめなり──香蘭女学校130年のあゆみ』を開催しました。今年は、聖公会関係学校協議会の方との話の中で『学校紹介の展示みたいなことをやったら面白いのではないか』というアイデアが出て、そこからスタートしたのが今回の企画です。急な話だったので、すべての学校の参加はかなわなかったのですが、聖公会の学校や施設の歴史や現在の姿を知っていただける機会になればと願っています」
開館は、平日午前10時〜午後5時まで。土曜午前11時〜午後5時。※最終入館時間は、閉館の15分前。閉館は、日曜・祝日・大学の休暇期間。※開館スケジュールの詳細はホームページまで。
【問い合わせ】電話:03・3985・4841、メール:tenjikan@rikkyo.ac.jp