西南学院大学神学部教授の天野有(あまの・ゆう)氏が17日午前7時55分、食道がんのため召天した。62歳。
前夜式は19日(金)午後7時から、告別式は20日(土)午前10時半から、日本バプテスト福岡基督教会(福岡市中央区荒戸2-5-16、電話:092・741・6256)で執り行われる。喪主は妻の暢惠(のぶえ)さん。
天野氏は1955年、静岡県生まれ。79年、早稲田大学教育学部教育学科を卒業(教育学士)。82年、西南学院大学神学部神学専攻修了(神学士)後、父の志をついで牧師の道を進み、84年まで日本バプテスト連盟・奈良キリスト教会牧師を務めたが、その後、カール・バルト神学の研究者として歩むことになる。88年、ドイツ・ヴッパータール神学大学に留学。91年、九州大学大学院文学研究科博士後期課程中退(文学修士)。93年、ヴッパータール神学大学にてベルトルト・クラッパート教授のもと、博士課程を修了して神学博士号を取得。94年から西南学院大学神学部講師を経て教授。日本バプテスト連盟・日本バプテスト福岡基督教会員。
カール・バルトの訳書として、最近まで「バルト・セレクション」(既刊『聖書と説教』、『教会と国家Ⅰ』、『教会と国家Ⅱ』、『教会と国家Ⅲ』、新教出版社)を刊行中のほか、『キリスト教的生Ⅰ』、『キリスト教的生Ⅱ』、『国家の暴力について──死刑と戦争をめぐる創造論の倫理』、『国家の暴力』(同)などがある。また、『岩波キリスト教辞典』(大貫隆ほか編、岩波書店)では「神の義」「神の言」「希望の神学」「『教会教義学』」「ドイツ教会闘争」「バルト」「バルメン宣言」「モルトマン」などの項目を執筆した。
新教出版社社長の小林望氏は次のように語る。
「私は長くお付き合いいただいた編集者として、天野先生の神学への真摯(しんし)な姿勢を深く尊敬しておりました。先生は、卓越した語学力に基づいてバルトを徹底的に読み抜き、日本のキリスト教界のために正確な日本語に移す作業に全身全霊を捧げておられました。新教出版社から『バルト・セレクション』全7巻予定を刊行中で、今年3月に4巻目が出たばかりです。道半ばで病に倒れてしまわれたことが、本当に残念でなりません」