航海では「動かないもの」にしか頼れません【聖書からよもやま話606】

主の御名をあがめます。
皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。

本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、エレミヤ書の2章です。よろしくどうぞ。

エレミヤ書 2章13節

わたしの民は二つの悪を行った。
いのちの水の泉であるわたしを捨て、
多くの水溜めを自分たちのために掘ったのだ。
水を溜めることのできない、
壊れた水溜めを。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

神様はイスラエルの民に怒っています。「どうして私から離れて、別の神々とか他のものに頼るの!?」と。「いくらでも水を与えてあげる私がいるのに、どうして自分たちで小さな水溜めを掘るの!?」と。

たとえるなら、親が子に「どうして毎日ごはんを作ってあげてるのに、それを食べずにスナックやらカップラーメンやらばっかり食べるの?」と言って怒るのに似ています。

ちゃんとしたごはんが用意されているのに、それを食べずにスナックばかり食べていたら身体を壊しますし、ごはんを用意した親は悲しい気持ちになります。しかしそれでも身体を壊した我が子を、親は必死に看病します。それでようやく回復したのに、また用意されたごはんを拒否して、スナックばかりを食べて身体を壊す、このくりかえし。「いいかげんにせんか、このやろー!」と怒りたくなるのも当然ですし、むしろ怒らない方が不健全な親でしょう。

確固とした神がいて、その神の愛が注がれているのにもかかわらず、人は他の神々を作り出したり、「人間中心」な価値観を次から次へと生み出して、それに従おうとします。聖書によれば、それはどれも「水を溜めることのできない水溜め」です。人が作ったものは人の問題の最終的な答えにはなり得ませんし、救いにもなり得ません。人間の本質的な価値は、作り出すものや獲得するものにあるのではなく、与えられたものにこそあります。作り出したもの、獲得したものは簡単に失われます。一方で与えられたものはそう簡単には失われません。

僕たち人間は実に様々なものを作り出し、獲得することができますし、実際にそうして来ました。しかしそのどれも、時代と共に風化したり失われたりします。では、与えられたものとは何でしょう。それはたとえばこの身体であり、命です。さらにはその命が成立する自然のシステムです。あるいは心や感情です。これらは時代が変わっても風化することはありませんし、変化することもありません。どれほど人間の作り出す技術が発展して、現代のIT社会、AI社会になっても、子どもが「おぎゃあ」と生まれるその声は変わることがありません。

「時代に取り残されてはいけない」なんてことが、世ではよく言われていますけれど、「時代に取り残されてはいけない」という思想そのものが、人の本質からズレています。それは「変化するものを追い求める」姿勢だからです。それはいくら追っても常に手からこぼれ落ちるもの、いえむしろ、いくら逃げてもどこまでも追ってくるものだからです。

船乗りが頼るのは灯台や港や北極星です。なぜならそれらは動かないからです。風が吹いても波が立っても動かないからです。変わるものを追い続けるというのは、そんな灯台や港を無視して、他の船を頼りに後悔するようなものです。航海をする船乗りたちは、みんな「動かないもの」を頼りにするんです。このことは多くの方が納得してくださるのではないでしょうか。それなのに、人生という航海においては、灯台や北極星をさしおいて、他の「動くもの」を頼りに生きる方が多いんです。

神様は「私以上に動かない存在なんていないでしょ?なのになんで私を無視して風や波で簡単に動いちゃうものを勝手にありがたがって、それを目印にして、そして何度も遭難するのよ君たちは!?」と言っているのだと思います。

それではまた次回。
主にありて。

MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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