小学校の教科書にも掲載されている『スイミー』や『アレクサンダとぜんまいねずみ』の他、『あおくんときいろちゃん』等多数の名作を世に送り出した絵本界の巨匠、レオ・レオーニ(1910〜1999)の展覧会『レオ・レオーニの絵本づくり展』(主催=Bunkamura、朝日新聞社)がヒカリエホール(東京都渋谷区)で始まった。8月27日(水)まで。

レオ・レオーニ 《マシューのゆめ》原画 1991年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family
レオ・レオーニは20世紀のイタリアやアメリカで絵画、デザイン、絵本など多彩な分野で活躍。絵本を制作するようになったのは49歳になってからで、はじめて出版したのは『あおくんときいろちゃん』(1959年)だ。孫のために作ったという人間愛あふれる絵本は、1967年にキリスト教の精神に基づいた保育を支援する絵本を制作・出版する至光社(東京都渋谷区)から翻訳・出版され、ロングセラー絵本となっている。

レオ・レオーニ氏 撮影:Massimo Pacifico
『あおくんときいろちゃん』を出版してからは、年に1冊のペースでアート感あふれる絵本を出版。世界中で絵本作家としての人気・実力ともに高く、数多くの絵本賞を受賞している。同展では、レオーニの絵本づくりに焦点を当て、アートディレクターとして培った豊富な経験やセンスに基づく、コラージュをはじめとしたレオーニならではのさまざまなテクニック(技法)を、数々の絵本原画で実際に確かめながら、その魅力に迫っていく。
会場は、第1章「テクニック(技法)」、第2章「ストーリー(ものがたり)」、第3章「レオレオリウム! 」で構成。第1章では、レオーニのこだわりぬいた、絵本づくりにおける多彩な技法――コラージュ、フロッタージュ、モノタイプ、スタンピングを紹介し、その手仕事に込めた思いをさぐる。

レオ・レオーニ 《6わのからす》原画 1988年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family
第2章は、レオーニが伝えたかったことを『6わのからす』の絵本原画を中心に読み解く。「ことばには まほうのちからが ある」「はなしあいに ておくれは ないよ」など谷川俊太郎の翻訳によるレオーニの言葉を絵柄と共に楽しみながら、レオーニが絵本をとおして社会に投げかけたメッセージを紐解き、世界で今なお愛され続けるその魅力に迫る。
第3章では、レオーニの絵本の重要なイメージの源泉となっている「テラリウム」をもとにした「レオレオリウム!」が展開されている。「テラリウム」とは、ガラス製の容器に動植物を入れて飼育栽培する手法で、少年レオーニが好んで製作していたという。監修したのは、さまざまな手法やメディアを使って、創造的な学びや発見のある体験づくりに取り組むplaplax(近森基+小原藍)。これはヒカリエホール限定のコンテンツで、同展の目玉ともなっている。

レオ・レオーニ 《あいうえおのき》原画 1968年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family
このほかにも、レオーニの世界観をビデオで鑑賞したり、絵本コーナーで作品を読んだりすることもできる。詳細はホームページで。
会期:7月5日(土)~8月27日(水) ※休館日7月24日(木)
開場時間:前10時〜後7時(最終入場は後6時半)
会場:ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F) 東京都渋谷区渋谷2-21-1
入場料:
【7月鑑賞券】一般1,800円、大高生1,200円、中小生900円
【8月鑑賞券】一般2,400円、大高生1,700円、中小生1,300円
トップ画像は、レオ・レオーニ 《フレデリック》原画 1967年 Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family