イスラエルとハマスの停戦合意が発表されたのを受けて、世界改革教会共同体(WCRC)は1月17日、「WCRCがガザ停戦を認め、平和への継続的な取り組みを呼びかけ」と題する声明を公式サイトで発表した。また、ルーテル世界連盟(LWF)も同日、世界メソジスト協議会(WMC)は16日に、合意を歓迎する声明を発表した。
一方、米国カトリック司教協議会は16日、公式サイトに「ガザ停戦は中東にとって『平和の励みとなる兆候』」と題する声明文を掲載。米国キリスト教会協議会(NCCC-USA)も19日、停戦を歓迎する声明を発表した。
これら声明の全文(仮訳=エキュメニカル・ニュース・ジャパン)は以下の通り。
WCRCがガザ停戦を認め、平和への継続的な取り組みを呼びかけ
世界改革教会共同体(WCRC)は、ガザでの停戦の発表が、進行中の紛争の影響を受ける人々の苦しみを軽減するための重要な一歩であることを認める。この展開は、この地域での癒し、対話、そして公正で永続的な平和の確立に向けた新たな取り組みの機会をもたらすもの。
WCRCの総幹事であるセトリ・ニョミ牧師は、影響を受けた人々に対する同組織の連帯を表明し、和解を促進するための継続的な取り組みの重要性を強調した。
「ガザでの停戦は、紛争を対話に、分裂を団結に変える継続的な取り組みの必要性を思い起こさせます。この瞬間は希望をもたらしますが、不正と苦しみの根本的な原因に対処するための具体的な行動を促さなければなりません。WCRCは、平和で公平な未来に向けて努力しているすべての人を支援します」とニョミ氏は述べた。
WCRC会長のナジラ・カッサブ氏は、平和と正義を訴えるコミュニティの重要な役割について振り返った。
「停戦は、架け橋を築き、連帯を深める機会を示しています。私たち全員が持続可能な平和を訴え、最も弱い立場にある人々をケアするよう求めています。この瞬間には、平和が永続的で包括的であることを保証するために、祈りを込めた取り組みと積極的な取り組みが必要です」とカッサブ氏は述べた。
WCRCは、文化や地域を超えて団結した教会の世界的な交わりとして、正義、平和、和解を促進することに引き続き尽力している。この停戦は、紛争や分裂がもたらす課題に対処するには、団結と集団行動が必要であることを思い出させるもの。
この展開を踏まえ、WCRCは世界の指導者、信仰共同体、市民社会に対し、人道的ニーズへの支援を提供し、意義のある平和構築イニシアチブに参加するよう呼びかけている。
WCRCは、この停戦が永続的な平和、尊厳、正義の基盤となることを願い、世界中の教会や個人に対し、ガザの人々と紛争の影響を受けたすべての人々のために祈るよう呼びかける。
LWFはガザ停戦を歓迎します
ルーテル世界連盟(LWF)は、1年以上に及ぶ紛争の終結に向けた重要な一歩となるイスラエルとハマスの停戦発表を歓迎する。
「15カ月の戦争の後、平和が近づいています。最優先事項は、この紛争がもたらした甚大な苦しみを軽減することです」と、LWF事務総長のアン・バーグハート牧師は述べた。
LWFは、支援を拡大するために、人道支援従事者が安全かつ即座にアクセスできることを優先するよう、すべての関係者に呼びかけている。さらに、LWFは、オーガスタ・ビクトリア病院への医療避難を優先的に促進するよう呼びかける。
報道によると、停戦は3段階で実施される。最初は、双方が完全な停戦を実施し、人質と囚人の交換を行う。第2段階では、イスラエル軍がガザから完全に撤退し、人質と追加の囚人を完全に解放して、戦争を終結させることを目指す。最後に、合意では広範囲にわたる破壊と人道的ニーズに対処しながら、ガザの再建を構想している。
世界メソジスト協議会(WMC)
私たちは平和を祈った。多くの都市の路上で抗議デモを行い、停戦を求めました。かなり遅れてるが、停戦は進んでいる。すべてが順調にいけば、停戦は2025年1月19日(日)に開始される。私たちは、ガザへの猛攻撃が停止し、人質が解放される見通しを歓迎する。合意された和平協定は、3段階で実施される。
ハマスは33人のイスラエル人捕虜を解放し、イスラエルはパレスチナ人囚人を解放する。イスラエルは戦闘を停止し、ガザの境界まで軍を撤退させ、ガザ北部を含む支援物資や避難民が自宅(破壊されたとしても)に戻ることを許可する。
停戦の維持、第2段階は6週間後に行われる。残りのイスラエル人男性捕虜はすべて解放される。さらなるパレスチナ人囚人の解放に向けた交渉が続き、イスラエルはガザから残りの部隊を撤退させる。
第3段階では、もはや生きていない捕虜の遺体の返還、ガザの再建、国境の再開に焦点が当てられる。
世界メソジスト協議会は、イスラエルとパレスチナの永続的な平和、ヨルダン川西岸と東エルサレムのイスラエル軍占領の終結、ガザ封鎖の終結、イスラエル国と並んでパレスチナ国家の樹立を一貫して求めてきた。これらが平和が持続できる条件なのだ。それは今も私たちの祈りであり、平和のための私たちの仕事なのだ。神が私たちの助け手となってくださいますように!
私たちは、さまざまな支援者たちに対し、この地域の永続的な平和のためのこの新しい過程を引き続き支援するよう強く求めます。
米国カトリック司教協議会
ガザ停戦は中東にとって「平和の励みとなる兆候」
イスラエルとハマス間の停戦交渉と人質解放の継続は、米国カトリック司教会議の国際正義と平和委員会の議長であるザイダン司教によって「平和の励みとなる兆候」として称賛された。
ワシントン-イスラエルとハマス間の停戦交渉と人質解放の継続は、米国カトリック司教会議の国際正義と平和委員会の議長であるレバノンの聖母マロン派教区のA・エリアス・ザイダン司教によって「平和の励みとなる兆候」として称賛された。
「この聖年の初めに、イスラエルとハマス間の停戦交渉と人質と囚人の解放の継続のニュースを非常に希望を持って受け取りました。これは、流血と破壊が多すぎる地域にとって、平和の心強い兆しです。この平和が中東でしっかりと永続的に根付くことを祈ります。また、この停戦と人質解放で米国が果たした重要な平和構築の役割に改めて感謝します」
「教皇フランシスコが言うように、真実、許し、自由、正義に基づく『希望の外交』を推し進め、『戦争の濃い雲が新たな平和の風に吹き飛ばされるよう』に進みましょう。この平和の兆しは、中東と戦争に苦しむ世界のすべての地域にとって、真の希望の光となり得ます」
「危機が始まって以来、教会はカトリック救援サービスとその現地パートナーを通じて、避難民コミュニティに食糧、現金援助、避難所、衛生、精神的および社会的支援を提供する上で重要な役割を果たしてきました。停戦により、教会がさらに弱い立場にある人々に手を差し伸べることができるよう祈ります。この地域と世界の持続可能で永続的な平和のために、引き続き祈りましょう」
米国キリスト教会協議会(NCCC-USA)
NCCはイスラエルとハマスの停戦のニュースを歓迎する。
米国キリスト教会協議会(NCCC-USA)はガザ戦争の停戦のニュースを歓迎する。私たちは、合意条件が実際に確定し、尊重され、近日中に発効することを願っている。
ハマスがイスラエルの民間人を残酷に攻撃した2023年10月以来、そして過去15カ月間のイスラエル軍の激しい応酬の間、教会は暴力の終結、そして平和を求めてきた。私たちは、この停戦が維持され、段階的な節目が達成され、恒久的な和平協定が締結されるまで当初の期限を超えて延長されることを祈っている。
この恐ろしい最初の攻撃で1200人以上のイスラエル民間人が死亡し、250人以上が人質に取られた。現在までに、これらの人質のうち117人が解放または救出され、74人は捕虜またはイスラエル軍の誤射により殺害されたことが確認されている。この合意の結果、解放されていない人質は60人強。残りの人質の多くは実際に死亡しており、その遺体は生存人質とともに返還されると報告されている。私たちは、残りの人質と影響を受けたすべての人々の愛する人たちのために祈りを捧げ続ける。
同軍の応酬が始まって以来、少なくとも4万6千人のパレスチナ人が殺害され、そのほとんどは民間人である。ガザは、多くの観察者が大量虐殺、またはそれに近いとみなす暴力によって廃墟と化した。その地域の再建と平和的な関係の再構築には、何世代もかかる。この過程が展開し始めると、近い将来、ガザの人道的な必要が満たされなければならない。停戦は再建過程の第一歩。
平和は魔法のように起こる祝福ではない。それは神から授かった祝福であり、人間が築き上げ、現実の永続的なものにする祝福である。その平和を育み、実らせるのは、イスラエル人(政府と国民の両方)と、敵意と争いのない祖国を切望するパレスチナ人の責任だ。そして、この停戦の仲介に協力した米国、エジプト、カタールの3カ国と、国際社会全体、特に国連が、イスラエル人とパレスチナ人を完全かつ永続的な平和へと導く責任がある。
聖地の人々は、あまりにも長い間、預言者ミカの幻をつかみどころのないものと感じてきた。
「主は多くの民の間を裁き/遠く離れた強い国々のためにも判決を下される。/彼らはその剣を鋤に/その槍を鎌に打ち直す。/国は国に向かって剣を上げず/もはや戦いを学ぶことはない。人はそれぞれ自らのぶどうの木/いちじくの木の下に座し/脅かす者は誰もいないと/万軍の主の口が語られる」(ミカ書4章3節~4節=聖書協会共同訳)
戦争の武器を捨て、平和の種をまくために必要な道具を手に取るという大変な仕事を始める時が来た。国々がもはや他国に対して剣を上げなくなり、皆が自分のぶどうの木といちじくの木の下に平和のうちに座ることができる時がすぐに来ることを、私たち全員が実感できますように。
(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)