クリスチャントゥデイ裁判 控訴審判決受けた報告会が声明「注意喚起を促し続ける」

株式会社クリスチャントゥデイ(矢田喬大社長)がクリスチャン新聞顧問の根田祥一氏に対し、SNSでの投稿などが名誉棄損にあたると訴えていた裁判で、東京高等裁判所(谷口豊裁判長)は11月13日、原判決が認定した事実の一部を退け、110万円の賠償請求に対する賠償額を50万円から66万円に増額する判決を下した。

一審判決が、ダビデ張(張在亨=ジャン・ジェヒョン)氏を「再臨のキリスト」とするクリスチャントゥデイの構成員が、その「信仰を秘し、淀橋教会又はその所属団体の宗教上の理念に従順である態度を示して、峯野(龍弘)牧師にその旨信じさせていた」と認定していた部分について、「継続的に、異端信仰を秘して、峯野牧師を騙したとの事実を真実と認めることはできない」とした。

控訴人が、張牧師は再臨のキリストではない旨の見解をサイト上で表明していることや、峯野氏が「矢田には異端的な言動や行動が見られたことはない」とした陳述などを採用したもの。一方で、共同体の元信者でクリスチャントゥデイの働きに従事していた証人らが、「張牧師が再臨のキリストであることを示唆する講義を受けた」「嘘も知恵である旨を説かれたことがあった」との事実は、一審判決より踏み込んだ形で認定した。

判決を受けて11月26日に開かれた報告会では、根田氏=写真中央=に加え日本福音同盟(JEA)総主事の岩上敬人氏(イムマヌエル綜合伝道団牧師)=写真左=が登壇。それぞれの判決を比較、精査し、この間に争われてきたクリスチャントゥデイをめぐる疑惑と明らかにされた実態を共有した上で、参加者一同が声明を採択した。

声明は判決文を引用しつつ、「ダビデ『共同体』と称されるこの団体が『張牧師が再臨のキリストである』という『正統派のキリスト教の教義から外れる内容を講義』してきた事実が明らかにされた以上、私たちは、クリスチャントゥデイをキリスト教メディアとして認めることはできない。私たちは、クリスチャントゥデイを含むダビデ『共同体』の活動を憂慮し、それぞれがキリスト者として遣わされている現場において注意喚起を促し続ける」と表明している。

声明の全文は以下の通り。


高裁判決報告会 声明

私たち報告会参加者は、令和6年(2024年)11月13日に東京高裁において言い渡された、株式会社クリスチャントゥデイ(以下、クリスチャントゥデイを「CT」と記す)と根田祥一さんの裁判の判決により、CTがいわゆるダビデ「共同体」の一部門であり、張在亨・ダビデ張牧師を再臨のキリストとして信奉する団体の活動の一翼を担ってきたことを確認した。その根拠は別紙の通りである。

1 張在亨・ダビデ張牧師について

韓国内外のキリスト教関連の情報媒体において、信奉者に張牧師を「再臨のキリスト」と告白させていること、大学やインターネット関連の企業を設立して影響力の拡大を図り、その収益で関連組織を維持していることが報じられていた。この張牧師の「オリベット大学」は、2020年、銀行から不正融資を受けたこと等を理由に罰金刑を受けている。また、同大学については、外国人留学生を無報酬又は極端な低賃金で労働に従事させた疑いで捜査を受けているとの報道もされている。

2 CTについて

張牧師が設立した韓国CT及び米国CTの資金援助を受けて、2003年に設立された日本CTの設立時の代表取締役であった高柳泉さんは、米国滞在中に張牧師が学生らと聖書研究等を目的として設立した「アポストロス・キャンパス・ミニストリー」に加わり、日本帰国後は張牧師の活動を起源とする「日本キリスト教長老教会」の下部組織である「東京ソフィア教会」において伝道師として活動した。日本CT設立時の従業員には、他にも「東京ソフィア教会」で張牧師の按手を受けた者がいた。

3 CTと張牧師の関係について

一審においてCTは、張牧師との関係を否定しようとした。しかし、高裁判決はこのCTの主張を退け、CTが張牧師の指揮・影響下にあったことや、ダビデ「共同体」の活動を維持・展開するために、その信奉者に無償労働や寄付・借財が求められていた実態を認定している。また、CTが出入国管理法違反を疑われる、虚偽の宣教師の入国申請書類を作成した事実や、「法的なことはどうでもよい」、「困れば借金をすればよい」という体質であったことも、真実に合致するものと認定されている。

4 張牧師が「再臨のキリスト」と信じられていること

そして、上記「東京ソフィア教会」での講義受講者から流出した「Kノート」について、「ノートの記載からうかがわれるとおり、東京ソフィア教会等の宣教師等は、正統派のキリスト教の教義から外れる内容を講義し、張牧師に関する言及もあった」ことが認定され、また、この教会等において宣教師等から講義を聞いた2名の証人による「張牧師が再臨のキリストであることが示唆された」とする供述についても、「平成14年頃から平成15年頃(注:2002年頃から2003年頃)にかけて、東京ソフィア教会等において宣教師等から講義を聞いた証人○○や証人○○が、張牧師が再臨のキリストであることが示唆されたとする供述は、信用できるというべきである。この点に関する控訴人(注:CT)の主張は採用することはできない。」と判断した。

このような事実認定により、クリスチャントゥデイと東京ソフィア教会、張在亨(ダビデ張)牧師との関係や、その反社会的な活動の実態が明らかにされ、ダビデ「共同体」と称されるこの団体が「張牧師が再臨のキリストである」という「正統派のキリスト教の教義から外れる内容を講義」してきた事実が明らかにされた以上、私たちは、クリスチャントゥデイをキリスト教メディアとして認めることはできない。私たちは、クリスチャントゥデイを含むダビデ「共同体」の活動を憂慮し、それぞれがキリスト者として遣わされている現場において注意喚起を促し続ける。

2024年11月26日

高裁判決報告会参加者一同

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