カンバーランド神学・社会委員会 辺野古の埋め立て強制執行に抗議

カンバーランド長老キリスト教会日本中会 神学・社会委員会(関 伸子委員長)は1月28日、辺野古埋め立ての強制執行に抗議する声明を発表した。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古に移設する計画をめぐり、福岡高裁那覇支部が埋め立ての設計変更を承認する国の「代執行」を認める判断を下したことを受けて、防衛省は1月10日に大浦湾側で工事を始めた。

声明は、「国が地方自治体の事務を代執行するのは地方自治のあり方が問われる異例の事態」「沖縄県知事の意見を無視したことは県民の意思を踏みにじる事」と非難。「子や孫に誇りある豊かな自然を残すことは国の責任であり、そこに暮らす一人ひとりは皆が尊い命なのであって、危険にさらされたり、恐怖を押し付けられたり、決して粗末に扱われてはなりません」とし、「平和を実現する者として生きることを志すキリスト者として、また、日本国憲法の保障する基本的人権の尊重と平和主義を重んじる市民として」代執行に抗議し、撤回を求めた。

全文は以下の通り。


辺野古埋め立ての強制執行に抗議します

私たち、カンバーランド長老キリスト教会日本中会神学・社会委員会は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、国が2023年12月28日、新たな区域の埋め立てに必要な設計変更を県に代わって承認する「代執行」をしたことに抗議し撤回を求めます。国が地方自治体の事務を代執行するのは地方自治のあり方が問われる異例の事態です。防衛省沖縄防衛局は今年1月中旬に、県が認めていない区域で工事を始めました。

承認を命じた12月20日の福岡高裁那覇支部判決に玉城デニー知事が従わず、斉藤鉄夫国土交通相が代執行に踏み切り、承認書を沖縄防衛局に交付しました。県は判決を不服として27日に最高裁へ上告しましたが、逆転勝訴するまで工事は止めることができません。

玉城氏は記者団の取材に「国策の名の下に代執行という国家権力によって、選挙で沖縄県民の付託を受けた知事の処分権限を一方的に奪うことは、多くの県民の民意を踏みにじり、憲法で定められた地方自治の本旨をないがしろにするもので、誠に遺憾だ」と批判し、「国の判断だけが正当なものとして認められるという、地方自治を否定する先例が生じてしまった」と述べました。また、政府に「沖縄の苦難の歴史に一層の苦難を加える辺野古新基地建設を直ちに断念し、問題解決に向け、沖縄県との真摯な対話を求める」と訴えました。沖縄県知事の意見を無視したことは県民の意思を踏みにじる事であり、私たちには受け入れることができません。

辺野古新基地が造られようとしている辺野古・大浦湾周辺の海域は、ジュゴンをはじめとする絶滅危惧種262種を含む5,300(プランクトンを含めると約5,800)種以上の生物が確認され、生物種の数は国内の世界自然遺産地域を上回るものです。子や孫に誇りある豊かな自然を残すことは国の責任であり、そこに暮らす一人ひとりは皆が尊い命なのであって、危険にさらされたり、恐怖を押し付けられたり、決して粗末に扱われてはなりません。すべての人の命はイエス・キリストが命をかけて愛して下さったかけがえのないものです。

平和を実現する者として生きることを志すキリスト者として、また、日本国憲法の保障する基本的人権の尊重と平和主義を重んじる市民として私たちは、新たな区域の埋め立てに必要な設計変更を県に代わって承認する「代執行」をしたことに抗議し撤回を求めます。

2024年1月28日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
神学・社会委員会委員長 関 伸子

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