説教であがらない方法は? 佐竹十喜雄 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

Q.原稿を書くのは苦にならないのですが、人前で話すのが苦手でうまく説教ができません。あがらないために何かいい方法はありませんか?(30代・牧師)

説教で苦労しない牧師など一人もいないと思いますのでお気持ちはよくわかります。わたしもどちらかといえばあがり性で、人前で話すのは得意ではありません。ですから説教は、何十年もやっていますが、今もって一言一句を原稿に書いてそれを繰り返し読み暗誦し、なおかつ原稿を手にしながら説教しています。もちろん原稿読み型の説教にならないように気を付けています。

質問者は「原稿を書くのは苦にならない」特技を持っておられるのですから、私流にやればそのうちにご自分の説教を自信をもってできるようになるのではないでしょうか。苦手意識の克服は経験を積んで慣れるほか方法はないと思います。

それから、「うまく説教する」必要はまったくないことを知っていただきたいと思います。大学生のときの経験ですが、教養学部の化学の老教授はたいへんな訥弁(とつべん)ではじめは何を話しているのかほとんどわかりませんでした。でも不思議なことですが、そのうちに、その教授の内に燃える学問に対する真摯さ、学生に対する情熱が我々に伝わってきて実に楽しい授業となりました。牧師にとって大事なことは、神に対する誠実さと会衆に対する尊敬と愛でしょうか。

さらにもう一つ。説教はみ言葉から神のメッセージを語ることです。誰でも聖書箇所を決めてそこから説教するわけですが、そのところで語られている神のメッセージをしっかりと把握し理解し納得しなければ、自信をもって説教することはできません。

そのためにみ言葉の学びを十分に行い、祈りのうちに神のみ声を聞くという説教の準備がどうしても必要となってきます。この準備の充実度が説教に反映することは間違いありません。この準備段階で説教者が「神のメッセージ」をはっきりと把握できたなら、説教の仕方は自ずから定まってくるのではないでしょうか。

 さたけ・ときお 1933年山形県生まれ。65年に開拓伝道を始め、日本バプテスト教会連合国分寺バプテスト教会牧師として30年間牧会に従事。その後、同教会の協力牧師となる。国内開拓伝道会(KDK)委員、聖書と精神医療研究会委理事、社会福祉法人いこい理事長を歴任。著書に『この岩の上に――開拓から百人教会へ』(いのちのことば社)。2019年、86歳で逝去。

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