北海道胆振(いぶり)東部地震から3週間。地震後には北海道全体が停電に見舞われ、不自由な生活を余儀なくされた。酪農が盛んな北海道では、生乳の加工工場にも被害が及んでいる。道東の中標津(なかしべつ)に住むクリスチャン酪農家、中村晃子さんに話を聞いた。
──どのような牧場ですか。
家族で経営している牧場で、広さは35ヘクタールほどです。搾乳牛頭数は32頭、育成牛(親牛になる前の若い牛)が15頭ほどいます。
──地震発生当時の状況は?
横揺れがやや長く続き、「これから本震が来るか」と身構えていると、枕もとの待機灯が消えました。そのうち停電も復旧するかと思いましたが、朝4時半からの牛舎の作業が始まる頃になっても停電が続いていたので、自家発電機を作動させました。これは地震直前に設置して、試運転も前日にすませたばかりでした。そのおかげで、搾乳作業ができ、牛たちの健康も守られました。主の導きと守りを改めて感謝します。
──地震後の被害はありましたか。
私が住む地区の停電は24時間続いただけです。しかし、生乳加工工場が停電の影響で操業を停止したため、各酪農家からの生乳の受け入れ態勢が整わず、2日分の生乳を廃棄することになりました。生産者として日々、牛の健康を管理し、「よい生乳を出荷したい」と営農していますが、その生乳が人の役に立たずに廃棄されることが本当に残念でした。
町は信号も止まり、生鮮食品を求めて買い出しに列を作る方も多くいたようですが、それほどの混乱はありませんでした。電気が復旧した後も、しばらくは肉や乳製品、野菜、豆腐、納豆などが入荷しない状態が続きました。
──地震を経験して感じたことがあれば教えてください。
今回、いかに普段の生活が楽で便利なものかと気づかされました。数日間の不便さと損失でも、かなりのダメージを感じました。甚大な被害が続く地域の方々の毎日の苦労を思うと、本当に心が痛みます。日本全国どこでも地震などが起こる災害大国・日本ですが、この国で生かされていることと、日々の恵みに気づいた時には、困っている方のことを覚えて、具体的に支え合っていきたいと強く感じました。
ハンガーゼロでは、北海道地震被災者を応援するため募金を受け付けている。募金先は以下のとおり。
郵便振替 00170-9-68590 一般財団法人 日本国際飢餓対策機構
※必ず「2018年北海道地震」と明記
ホームページからクレジットカードによる募金も可能