立正佼成会(会長:庭野日鑛)は、NPO法人抱樸(ほうぼく)による「希望のまちプロジェクト」に対し、1千万円の支援を決定した。10月6日、同会総務部部長の和田惠久巳氏らが、北九州市にある抱樸事務所を訪問し、理事長の奥田知志氏(日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会牧師)へ目録を贈呈した。贈呈式は東八幡キリスト教会で行われた。
「希望のまちプロジェクト」は、北九州市内に新たに建設される複合型社会福祉施設を拠点に、新たな地域づくりを目指すもの。格差が広がる日本にあって「ひとりも取り残されないまちをつくりたい」という思いから生まれた。ここに来れば、みんなに「居場所と出番」があって、それぞれ誰かのホームになれる、そんな場所にしたいと願いが込められている。これまで奥田氏を講演会に招くなど、交流を深めてきた立正佼成会では、奥田氏から同プロジェクトが目指すまちづくりについて説明を受け、立正佼成会の理念と一致することから支援を決定した。
同プロジェクトは、「助けてと言えるまち」「まちを大きな家族に――家族機能の社会化」「まちが子どもを育てる――相続の社会化」という3つの目的を持つ。 「子どもの居場所と家族支援」「地域生活サポートセンター」「救護施設」「障害のある方の居場所」「避難所・防災機能」などの機能を備えた複合型社会福祉施設を建設し、全ての人にとっての「居場所(ホーム)」として拠点に据え、新たな「まち」を広げていくことを目指している。
施設の建設予定地は、北九州市小倉北区の特定危険指定暴力団「工藤会」の本部事務所の跡地。4階建ての1階には、地域の人々の交流や支援相談の入り口の役割を果たす大ホールを、上階には要介護認定の段階や障害者手帳の有無を問わない幅広い受け入れが可能な救護施設を備える構想。来年9月着工、再来年10月の開所を予定している。今年7月には、北九州市社会福祉協議会など、地域の団体による希望のまち推進協議会が組織され、「まち」のあり方について検討が重ねられてきた。
立正佼成会一行の訪問を受け奥田氏は、同プロジェクトについて次のように語っている。
単身世帯の増加など、人々の生活形態が変化する一方、医療、介護、保健・福祉といった現行の社会保障制度は家族の支えを前提としており、将来、立ち行かなくなる可能性が高く、社会福祉の基盤を家族から地域社会に移す必要があります。今回のプロジェクトは、他人同士が互いにつながり、支え合う仕組みを地域に広げる役割が期待されます。北九州での取り組みがモデルとなり、全国各地に「希望のまち」が生まれることを願っています。
贈呈式後、抱撲から感謝状を受け、あいさつに立った立正佼成会の和田氏はこのように述べた。
このような取り組みに協力させて頂けることは、とても幸せなことだと受けとめています。今後は地元の立正佼成会小倉教会、北九州支教区の会員を中心に活動に参画させていただくとともに、全国の会員にもプロジェクトに関心を持ってもらえるよう伝えていきます。
抱樸は、貧困や孤立に苦しむ路上生活者の支援を行ってきた奥田氏により 2000 年に設立された。出会いから看取りまで携わる「伴走型支援」の理念の下、炊き出し、居住設置支援といった公的福祉制度では整わない分野での活動を中心に、現在、27の事業を展開している。同プロジェクトは、2020年4月に開始した事業で、今年3月には、全国からの寄付により、金融機関から借り入れていた土地購入資金1億3千万円をは完済。現在は、施設建設に向けて、3億円の寄付を全国から募る寄付キャンペーン(2023年3月31日まで)に取り組んでいる。