チャリティー ゴスペルコンサート「ワールド・フード・デイ・クロス・ゴスペル(WORLD FOOD DAY + GOSPEL)」(えばらぶ、ハンガーゼロ共催)が11月26日、上野芝キリスト教会(大阪府堺市)およびオンライン(YouTube動画配信)のハイブリットで開催された。会場に集まった30人と、50人近くのライブ視聴者とともに、ゴスペルの演奏を楽しみながら世界の飢餓について学んだ。
このイベントは、国連が10月16日に制定した「世界食料デー」に合わせて毎年この時期に開かれているもので、今年で6回目となる。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、オンラインのみでの開催が続いたが、今回は対面とオンラインのハイブリットで行われ、ゴスペルの演奏も来場できない人はZoomで参加した。司会進行を務めたのは、ゴスペルシンガー&ソングライターで、「えばらぶ」を主宰する白鞘慧海(しらさや・えみ)さん。今年7月にハンガーゼロの親善大使に就任し、2022年世界食料デーのテーマソング「ぼくらの世界」も手がけている。
コンサートは、「ぼくらの世界」をBGMにした世界食料デーの「テーマ動画」から始まった。これはハンガーゼロが制作した動画で、世界の飢餓の現状が約5分にまとめられている。その後、アメリカ在住のシャニータ(Schanita)さんが、この日のために制作した動画が上映された。シャニータさんは、GQ(ゴスペルスクエア)というゴスペルサークルで講師もしており、今回の動画はそこでレッスンを受けている人たちと一緒に作ったものだ。
続いて、ゴードン・イポリト(Gordon Hyppolite)さんが登壇し、オリジナル曲などを披露した。ブルックリンで音楽活動をしていたゴードンさんは、数年前に来日。京都で暮らした後、現在は淡路島に住んでいる。「今、歌えることがすごく嬉しい」と話すゴードンさん。この日歌った「Someway」は、「神さまの手の中が僕のいる場所。たまにしんどくなる時もあるが、賛美すると『さあ、次に進もう』という気持ちになる」という思いから生まれた曲だ。
みんなで集まって歌うことは、ゴスペルの大きな魅力。しかし、新型コロナウイルス感染拡大は、それを難しい状態にしてまった。白鞘さんは、そんな状態の中でオンラインでゴスペルレッスンを続けてきたことを明かした。オンラインの良い点は、距離を置いても共に集まれることだと話し、どんな困難な状況でも新しい発見があることを思わされていると語った。また、6年前から始めた「ワールド・フード・デイ・クロス・ゴスペル」について、これまでいろいろな形を試しながらやってきたことを述べ、次のように伝えた。
世界が平和になり、一人でも多くの命が救われ、食べられない人がいなくなるように祈っています。この時代、どうなっていくのだろうと思うことがたくさんありますが、神さまが必ず働かれ、私たちを導いてくださることを信じています。このことを語り続け、信じ続け、歌い続けていきたい。私たちの神さまは大いなるお方、恵み深いお方なのですから。
そう語り終えた白鞘さんは、オリジナル楽曲「Amazing Grace〜I Believe」を歌った。
ゴスペルの合間には、飢餓についての講演も行われた。講師は、ハンガーゼロのスタッフの鶴浦弘敏さん。鶴浦さんは、今年の世界食料デーのテーマである「Small Action Everyday !〜小さなことから一歩ずつ」と、聖書に出てくる「5つのパンの2匹の魚」(ヨハネによる福音書6章1~15 節)の話を重ね合わせながら、小さなことだけれどできないと思っていることを神さまは祝福してくださると力を込めた。ハンガーゼロが支援するコンゴ民主共和国での農業によるコミュニテイの成長を紹介し、このように語った。
私たちの意識が変わるときに世界が変わります。それは開発途上国だけでなく、あなたが2匹の魚になるとき、あなたが5つのパンになるとき、神さまは豊かにそれを用いてくださる。一人一人が今ある能力を使ったり、募金をしたり、あるいは誰かに伝えていくことなど、その小さな広がりが世界を変えていくことになるのです。そして、その小さな努力をイエス様は見ていてくださります。イエス様はこうおっしゃいます。「最も小さい者の一人にしてくれたことが、わたしにしてくれたことなのだ。」
最後は、クワイアのメンバーが登壇し、Zoom参加者と共に「R.Y.H.」(白鞘さんオリジナル)を合唱した。このゴスペルは「ワールド・フード・デイ・クロス・ゴスペル」のテーマ曲ともいえる楽曲で、熱がこもった喜びに満ちた歌声に会場が一つになった。