この神は生ける神、世々にいまし、その主権は滅びることなく、その支配は永遠。
ダニエル書6章27節(参考箇所同書6章1〜29節)
ダニエルはバビロン捕囚の民の一人で、異国にあって苦しむイスラエルの信仰を励まし、希望を与えた人物として描かれています。
6章の物語は、ダニエルがライオンの洞窟に投げ込まれたにもかかわらず無事一命を得た有名な出来事を記したものです。彼はメディア人ダレイオスに仕え、大臣の位にまで上りますが、彼が異国の信仰に屈せず、自らの信じるところを守り通したため、同輩の讒言(ざんげん)により、遂にライオンの洞窟に投げ込まれる刑を受けることとなったのでした。彼を信頼する王は、なんとしてでも助けようとしますが、一旦法の定めたことを覆らず、とうとう洞窟に入れられることとなりました。異邦人の王ダレイオスが懸命にイスラエル人ダニエルを助けようとする努力は、後のバビロン捕囚からの解放が異邦人の王キュロスによってなされたことと共通するものがあります。ダニエルはライオンの牙を逃れ一命を得ます。異邦人ダレイオスはその様を見て、告白した言葉が引用の聖句なのです。
ここには主なる神を信じる信仰は、異邦人にまでに及んでいるのです。旧約にこのような信仰を見ることは、我が国のような非キリスト教的環境の中での信仰のありかたを考えさせます。