彼に対して逆らう者を置き、彼の右には敵対者を立たせてください。
詩編109編6節(参考箇所詩編109編1〜31節)
ここでいう「彼」とは、神に逆らう者を意味し、詩編の作者が善意をもってしても悪意を返し、愛をもってしても憎しみをもって応える相手のことです。その「彼」に逆らう者をあてがい、敵対者(サタン)を「彼」の右に置いてくださいと祈ります。そうすることで「彼」を滅ぼすことができるのです。あたかも毒をもって毒を制するかのような祈りです。
ルターは、キリストは悪魔の悪魔、罪の罪、死の死となられたと言います。罪と死と悪魔は、強大な力をもって人間を滅びに陥れるものであります。これに対抗する手立てはひたすら神の救いの手段に頼る以外にないのです。神の救いはなまやさしい手段ではなされませんでした。
キリストは悪魔に対して悪魔となられることで悪魔を滅ぼされます。罪を罪に陥れるために罪となられるのです。死が死ぬために死の死となられます。それによってわたしたちは救われることを肝に銘じなければなりません。
詩編の作者が、「彼」と呼ぶ、敵が滅びるためには、その敵に「逆らう者」や敵の「敵対者」の助けがなければならないのです。それこそ、キリストの手助けを求めていることに他なりません。