主の霊はわたしのうちに語り、主の言葉はわたしの舌の上にある。
サムエル記下23章2節(参考箇所同書23章1〜7節)
ダビデがこの世の生涯を終わるに際して、最後に残した言葉。モーセ(申命記33章)やヤコブ(創世記49章)も信仰者としての最後の告白とでもいうべき言葉を残しました。これらイスラエル指導者の最後の言葉に見るのは、生涯の終わりを神への祈りと感謝をもってしたことです。
サムエルに見出され、サウルの跡を継いだダビデは、罪多き者とはいえイスラエル統一を果たし、神に守られた生涯を送って来たのでした。今、この世を去るにあたって、己を太陽のように人々の上に耀かせてくださった神に感謝しているのです。
「主の霊はわたしのうちに語り、主の言葉はわたしの舌の上にある」とは、彼の全生涯を通じて彼は神の言葉を聞く者であったのであり、彼が命じ、教えた言葉は、神が語らせてくださった言葉であったということです。
人の死は、その人の業績によって飾られるのが一般の常識です。しかし信仰者の終わりは、その生涯に神がどのように働かれたかを見るのです。そこにどのような業績があるかは問題となりません。信仰者が人生の終わりに告げる言葉は、王たるダビデであろうと貧しい人ラザロであろうと神がどのように働いてくださったかであります。