日本国憲法が施行されて75年を迎えた5月3日、日本バプテスト連盟「憲法改悪を許さない私たちの共同アクション担当者会」主催による「憲法フェスティバル」がオンラインで開催され、約100人が参加した(北関東地方連合社会委員会、神奈川地方連合社会部共催)。
「キリスト者にとっての9条とは?」と題して講演した西原美香子氏(日本キリスト教協議会=NCC=副議長、日本YWCA業務執行理事)はまず、宗教者が労働組合や市民運動と連携し、1999年の「平和を実現するキリスト者ネット(キリスト者平和ネット)」、2002年の「平和をつくり出す宗教者ネット(宗教者ネット)」発足に至った経緯を振り返った。
その上で、これら草の根の運動が「戦争へと向かう動きを阻止できたか」「次世代に続く活動をつくり出せたか」「平和とは何かというメッセージを教会やお寺の内外に語ってきたか」「政治を変えることができたか」と自らに問いかけ、その後、宗教者9条の和、9条アジア宗教者会議、9条世界宗教者会議へと発展した成果を「少なくとも戦争に突き進もうとする動きを遅らせることはできた」と評価。
韓国の民主化運動や沖縄での反基地運動に学び、「宗教者の集いが文化講演会に終始せず、非暴力抵抗運動の実践として、平和の実現に寄与しなければならない」と強調した。
ウクライナ、ミャンマー、パレスチナで命と尊厳が奪われる中、「たとえ絶望感が渦巻いても現場に立ち、現実を直視し、ビジョンを描いて諦めずに行動する姿こそが信仰の証し。市民運動の中で希望を語り続けることも役割の一つ」と西原氏。
キリスト者にとって憲法9条とは、「地上に正義と平和、赦しと命と愛をもたらすための具体的な祈りであり、イエスに倣う生き方」とし、あらゆる暴力や人権侵害、環境破壊を否定する「9条的な生き方・考え方」を貫くことが、「聖書の示す平和の実現へとつながる道のり」と結んだ。