信じた人々の群れは心も思いも一つにし、一人として持ち物を自分のものだと言う者はなく、すべてを共有していた。
使徒言行録4章32節(参考箇所同書4章32〜37節)
最初の教会では、心も思いも、さらには物までも共有していました。キリストの再臨が近いということもありました。しかし、ここに見る初代教会のありようは、あらためて教会とはなにかということを考えさせるものがあります。
当時と現代では社会的条件がちがいますから、初代教会のありようをそのままそっくり取入れることは困難でしょう。しかしながら、教会とは、心の問題も含めて、あらゆるものがいっしょにいることができる集団なのだということを初代教会に見ることができます。考えてみれば、現代社会の中で存立しているさまざまな集団は、単一化し、雑多かつ多様な性格を帯びる集団は珍しくなりました。家族でさえ大家族がもつ雑多性を失いつつあります。
人にとっては、雑多かつ多様な人間模様が作り出す経験は重要です。その中から生きていく上での知恵やありかたを学び、成熟した人生をつくりあげます。その意味では、教会は、年齢、性別、性格、能力の異なる人が一堂に会して、その多様性を共有できる集団です。現代にあってまことに貴重な集団といわねばならないでしょう。人がその中に身を置くとき、より豊かな生き方を身に付けていくのではないでしょうか。