今日8月27日は宮澤賢治の誕生日。岩手県花巻の生家の裏に、救世軍の山室機恵子の実家がありました。機恵子の家には東北伝道していた正教会のニコライが寝泊まりし、その兄弟は正教会の神学校に入っています。
花巻は城下町だったこともあり、早くからキリスト教伝道がなされました。江戸時代にキリシタンが迫害された史料もあり、明治に入ってからも正教会だけではなく、カトリックやバプテストも伝道しています。特に日本基督教団・花巻教会(当時は花巻バプテスト教会)はその開拓の初めから、賢治のまわりにいる人たちが多く教会員として関わっていました。賢治は、親戚で近所に住む島栄蔵から誘われて礼拝にも出席したことがあります。
無教会も盛んで、「雨ニモマケズ」のモデルともいわれる斎藤宗次郎は年の離れた良き友人同士でした。内村鑑三も花巻での無教会を励ますためにしばしば来花しました。
10代を過ごした盛岡では、カトリック(現在の四ツ家教会)のプジェー神父とバプテストの宣教師(現在の日本基督教団・内丸教会)のタッピング一家と親しくしており、下宿が日本基督教団・下ノ橋教会の真向かいだったこともあります。下ノ橋教会では、フェリスを創設し、児童文書伝道に熱心だったキダーが伝道していました。
このように幼い頃からキリスト教と接点が多かったことから、賢治の作品にはさまざまな影響が見て取れます。特に絶筆となった「銀河鉄道の夜」にはそれが顕著です。この作品はまた、バニヤンの「天路歴程」にインスパイアされたともいわれています。