ドイツ哲学のキーパーソンは『車輪の下』の大先輩

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◆1770年3月20日 ヘルダーリンの誕生日

ヘルダーリンは18世紀ドイツの思想家・詩人で、日本ではあまりその名は知られていませんが、ヘーゲルやシェリングと親交し、また後のニーチェやハイデッガーの思想に影響を与えた、思想史、特にドイツ哲学界においては大きな意味のあるキーパーソンです。

説教師の父と、牧師の娘であった母から生まれ、彼自身も経験なクリスチャンとして育ち、聖職者になるために神学校に通いました。この学校はヘルマン・ヘッセの有名な『車輪の下』の舞台になった学校です。もっともヘッセが舞台としたのはヘルダーリンが卒業してから100年も後のことではありますが。

しかし、大学を卒業すると聖職者になることを拒否して家庭教師になりました。大学でスピノザを学んだことが大きく影響したようです。スピノザは神様を否定はしませんでしたが、「神様というのは自然そのもののことである」と神の人格を否定する汎神論の立場をとります。ですからヘルダーリンも神様自体は否定しませんでしたが、人格神を中心とする教会の聖職者になるのは拒否したのかもしれません。もしかしたら単純に「聖職者じゃなくて詩人になりたい!』と思っただけかもしれません。ヘルマン・ヘッセは「詩人になるか。そうじゃなければ何者にもなりたくない」との言葉を残しましたが、そうだとすればこの言葉は大先輩のヘルダーリンの影響だったかもしれません。

 

それではまた明日。

 

 

横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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